The Orthomolecular Times

2024.10.21 分子栄養学の皮ふ(肌)の抗酸化栄養素①「抗酸化酵素と鉄、亜鉛、マンガン、セレン、ビタミンB2」

分子栄養学とは

分子栄養学とは① 「一般の栄養学と分子栄養学の違い」

栄養学と分子栄養学、どちらも「栄養」に関することなのは明確ですが、その違いについてはピンとこない方がほとんどでしょう。

特に「分子栄養学」については、その言葉自体初めて耳にする方も多いはずです。

今回の記事は、一般の栄養学と分子栄養学の違いについてです。一緒に学んでいきましょう!

栄養と栄養素それぞれの持つ意味

栄養学、分子栄養学のお話の前に、まずは栄養と栄養素についてです。

栄養と栄養素、この2つの言葉はどちらも非常に似たイメージですが、それぞれの言葉のもつ意味は異なります。

ここでは、それぞれの意味について一緒に見てみましょう。

栄養とは

栄養については誰もがきっと「肉や魚、卵などのタンパク質、野菜からはビタミンが摂れるかな?」などと考える場面が日常的にあるでしょう。

その「タンパク質」や「ビタミン・ミネラル」などが「栄養」であると認識している方は多くいるのではないでしょうか。ですが、実際のところ厳密にはこれらは「栄養素」です。

実は、栄養という言葉の意味は、私たちが食物を得て身体に必要な「栄養素」を取り込み、エネルギーを保ち続け、生命を維持する、そして代謝して要らないものを排泄する、この一連の状態を指しています。

このような、地球上の生物すべてが行っている生命現象の営みこそが栄養(nutrition)です。

栄養素とは

一方、「栄養素」とは、先ほどお話しした「栄養」活動に必要な物質のことです。

先ほども登場したタンパク質やビタミン・ミネラル、また脂質や炭水化物などの総称が「栄養素」です。

私たちは、食べ物に含まれる栄養素を、毎日生まれ変わる身体の材料として使っています。つまり、私たちは栄養素でできているのです。

私たちの細胞を構成する分子=栄養素

栄養素の役割のひとつは、私たちの細胞を構成する分子のことです。私たちを小さくしていくと「生きていると認められるいちばん小さな単位」は「細胞」です。

さらに、それらの細胞一つひとつが食事から得られる分子(※分子栄養学とは②※分子栄養学とは③)、つまり栄養素でできています。

私たちの身体を構成するのは数十兆個もの細胞。

細胞の種類にもよりますが、それらの細胞の成分は、常に壊されて新たに作り替えられるというサイクルを繰り返しています。(※分子栄養学とは⑤

栄養素のさまざまなはたらき

日頃から耳にすることの多い「タンパク質」や「ビタミン・ミネラル」などは、全て栄養素です。これらの栄養素は食べ物やサプリメントとして摂取される物質です。(※5大栄養素(概論)※ビタミン(総論)

私たちが摂取した食べ物は、消化・吸収というステップを経た後、初めて身体の中に入り、そして細胞に利用されます。

細胞は食べ物に含まれる栄養素をうまく利用し、仕事をするためのエネルギーを作ったり、新しい髪の毛や皮膚として生まれ変わったりします。

ちなみに、私たちのDNAは遺伝情報が書き込まれている設計図のようなものですが、このDNAもまた、アミノ酸や葉酸などの栄養素でできています。

一般的な栄養学と分子栄養学の違い

ここからは、今回のテーマである「一般的な栄養学と分子栄養学の違い」についてです。

簡潔に説明すると、栄養に関わる全ての現象について研究する学問のことを「栄養学」といいます。

一般的な栄養学では「栄養素の欠乏を予防し改善する」のに対し、分子栄養学では欠乏を防ぐにとどまらず「目的に応じて栄養素の摂取量を増やし、より多くの作用を期待する」点が明確な違いです。

ここでは、一般的な栄養学と分子栄養学についてさらに細かな部分まで掘り下げていきましょう。

一般的な栄養学

栄養士さんが学校で学ぶような一般的な栄養学は、もともと欠乏症の歴史から発展しています。

何の栄養素が欠乏すると、具体的にどのようなリスクが起こり得るのか、という考え方です。

有名なところでは、ビタミンCが足りないと壊血病、ビタミンB1不足では脚気という疾患の原因となります。

要するに、「この栄養素が足りないとこんな病気になるので、その病気にならないようにこの栄養素を十分に摂りましょう」というのが一般の栄養学です。

分子栄養学

分子整合栄養学の英語表記は” Orthomolecular Nutrition”ですが、この” Orthomolecular”はライナス・ポーリング(L. Pauling)(※分子栄養学の歴史②)が提唱した医療の新しいパラダイムの方向性を示す造語です。

ギリシャ語の「正しい」という意味に由来するortho(正常な)と molecule(分子)(※分子栄養学とは②※分子栄養学とは③)を組み合わせてつくられています。

また、分子整合栄養学には、以下のように微妙に異なる呼び方がありますが、意味はいずれも同じです。

  • 分子整合栄養医学(Orthomolecular Nutrition and Medicine)
  • オーソモレキュラーニュートリション
  • 分子栄養学

※当サイト内の記事においては「分子整合栄養学」に代わり「分子栄養学」の名称を用います。

分子栄養学は、一つひとつの細胞が必要とする栄養素の最適な量、適切なバランスを整えることによって、その細胞が正常に機能できるようになることを考えた理論です。

一般的な栄養学が「欠乏を防ぎ病気などのリスク回避」を重要視するのに対し、分子栄養学では「単に病気にならないだけでなく、心身ともに最高かつ最善の健康状態を目指す」のが特徴です。

身体の中に正常にあるべき分子(molecule)を至適濃度に保つ(ortho)充分量の栄養素(nutrition)を摂取すること。

それを適切に消化・吸収・代謝することによって、生体機能が向上し、病態改善が得られるというのが分子栄養学の理論です(※分子栄養学とは⑤)。

分子整合栄養学は、私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出し、オプティマムヘルス(単に病気でないだけでなく、心身ともに最高・最善の健康状態)の実現を目指します。

分子整合栄養学の概念については、さらに詳しく以下の記事で触れています。ぜひご一読ください。

※分子栄養学の歴史①「分子栄養学生誕55年:新しい医療のパラダイム、分子栄養学」

まとめ

この記事では、一般の栄養学と分子栄養学の違いについて学びました。あらためて、栄養・栄養素についても理解が深まったのではないでしょうか。

分子栄養学は私たちの身体の健康状態を最高・最善レベルにまで引き上げることを目的としています。

ぜひこの機会に分子栄養学に関するたくさんの知識を身につけていただけますと幸いです。

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