The Orthomolecular Times

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分子栄養学とは

分子栄養学とは① 「一般の栄養学と分子栄養学の違い」

栄養と栄養素の違い

分子整合栄養学について知る前に、「栄養」と聞いて思い浮かぶものは何でしょう?
「肉や魚、卵などのタンパク質、野菜からはビタミンが摂れるかな?」
実は、そのタンパク質やビタミン・ミネラルなどは、厳密には「栄養素」と呼びます。食べ物に含まれる栄養素を、毎日生まれ変わる私たちの身体の材料として使っている。その栄養素でできているのが、私たちです。
そもそも栄養(nutrition)とは、地球上の生物すべてが行っている生命現象の営みのことです。生物はみな、その生命を維持するために必要な物質を生体内に取り込み、利用して、要らないものを排泄して生命を維持しています。その栄養に関するすべての現象について研究する学問を「栄養学」といいます。

私たちの細胞を構成する分子

それを、もっと細かい目で見てみるとどうでしょう。私たちを小さくしていくと、“生きていると認められるいちばん小さな単位”が細胞になります。そしてその細胞1つひとつが食事から得られる分子(栄養素)(※分子栄養学とは②※分子栄養学とは③)でできています。私たちの全身は数十兆個の細胞でできており、それら1つひとつの細胞の成分は、その細胞の種類にもよりますが、常に壊されて新しく作り替えられる、ということを繰り返しています(※分子栄養学とは⑤)。

皆さんも聞いたことのある「タンパク質」や「ビタミン・ミネラル」は、栄養素、つまり食べ物やサプリメントとして摂取される物質です(※5大栄養素(概論)※ビタミン(総論) )。私たちが摂取した食べ物は、消化・吸収というステップを経た後、初めて身体の中に入り、そして細胞に利用されます。細胞はその栄養素をうまく利用して、仕事をするためのエネルギーを作ったり、新しい髪の毛や皮膚として生まれ変わったりします。私たちのDNA(遺伝情報が書き込まれている設計図のようなもの)も、アミノ酸や葉酸などの栄養素でできています。

一般的な栄養学と分子栄養学の違いとは

分子整合栄養学(Orthomolecular Nutrition)は、またの名を分子整合栄養医学(Orthomolecular Nutrition and Medicine)、オーソモレキュラーニュートリション、分子栄養学とも呼ばれます。栄養士さんが学校で学ぶような一般的な栄養学は、もともと欠乏症の歴史から発展しています。有名なところでは、ビタミンCが足りないと壊血病、ビタミンB1不足では脚気という疾患の原因となります。「足りないとこんな病気になるので、その病気にならないように栄養素を十分に摂りましょう」というのが一般の栄養学です。

一方、分子整合栄養学では、その欠乏症の予防・改善という枠を超え、目的に応じて栄養素の摂取量を増やすことで、より多くの作用を期待します。「病気にならない量」ではなく、1つひとつの細胞が必要とする栄養素の最適な量、適切なバランスを整えることによって、その細胞が正常に機能できるようになることを考えた理論です。

分子整合栄養学とは、ギリシャ語の「正しい」という意味に由来するortho(正常な)と molecule(分子)(※分子栄養学とは②※分子栄養学とは③)を組み合わせた” Orthomolecular”というライナス・ポーリング(L. Pauling)(※分子栄養学の歴史②)が提唱した医療の新しいパラダイムの方向性を示す造語で、私たちの身体の中に正常にあるべき分子(molecule)を至適濃度に保つ(ortho)充分量の栄養素(nutrition)を摂取し、それを適切に消化・吸収・代謝することによって、生体機能が向上し、病態改善が得られるという理論です(※分子栄養学とは⑤)。分子整合栄養学は、私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出し、オプティマムヘルス(単に病気でないだけでなく、心身ともに最高·最善の健康状態)の実現を目指します。

分子整合栄養学の概念を、更に詳しく、※分子栄養学の歴史①「分子栄養学生誕55年:新しい医療のパラダイム、分子栄養学」にてお伝えしています。ぜひご一読ください。

(次回より、当サイト内の記事においては、「分子整合栄養学」に代わり、「分子栄養学」という言葉を用います。)

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