The Orthomolecular Times

【新着記事】2024.5.7 分子栄養学の基礎用語「血糖値」、「糖質」、「GI値」、「GL値」って何ですか?

栄養素のお話(基本編)

5大栄養素(概論)

栄養素とは、食物の中に含まれているさまざまな物質のうち、生命活動を営むために人間の脳と身体に必要な成分のことです。食物の中でも、その中で栄養素として働ける成分を、通常、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの5つに分けて分類し、これらを5大栄養素と呼んでいます。

5大栄養素の大きな役割は以下のとおりです。

  1. 筋肉や骨、歯、血液などの身体を作る
  2. エネルギー(力や熱)になる
  3. 身体の調子を整える(生体内の代謝を調節する)

筋肉や骨、歯、血液などの身体をつくる

人の身体は筋肉や骨、歯、血液などで構成されています。そしてこれらは栄養素によって構成されています。例えば、私たちのいちばん小さな単位である細胞の細胞膜(※分子栄養学とは③)は脂質やタンパク質で構成され、筋肉や髪の毛や爪、皮膚の主成分はタンパク質です。骨や歯は、コラーゲンを中心としたタンパク質でできており、その硬さを維持するのにカルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルが活躍しています。血液は、血清タンパク質、血球成分などの細胞膜を作る脂質・タンパク質、酸素を運ぶヘモグロビンを構成する鉄(ミネラル)などでできています。

筋肉や骨、歯など身体の土台が弱ければ、日常生活に支障が出ることも十分に考えられます。健康な身体を作るために毎日良質な栄養素を摂るということは、人生を楽しく生きるための礎を作るということそのものです。

エネルギー(力や熱)になる

自動車を動かすのに電気などのエネルギーが必要なように、人が生きるためにもエネルギーが必要です。そのエネルギー (力や熱) の源となる栄養素(タンパク質、糖質、脂質)をエネルギー産生栄養素(3大栄養素)といいます。このエネルギー産生栄養素(3大栄養素)を分解して、ATPという電池のような分子にエネルギーを蓄えます。

このときサポート役として大活躍するのが、ビタミン・ミネラルです。5大栄養素のすべてがそろってこそ、エネルギーをしっかりと作れるようになります。生体内でエネルギーをしっかりと得られることで、エネルギーを使った代謝(※分子栄養学とは⑤)が可能となり、生体をつくる分子は日々新しく入れ替わることができていきます。3大栄養素のエネルギー源としての役割と、そのほかの主な働きを次に示します。

●タンパク質:1gあたり4kcalのエネルギー源となる。あらゆる細胞の材料となる。
●糖質:1gあたり4kcalのエネルギー源となる。脳を含む全身のエネルギー源となる。
●脂質:1gあたり9kcalのエネルギー源となる。細胞膜やホルモンの構成成分となる。

楽しい、嬉しいなどの気持ちも、エネルギーが十分にあってこそ感じることができます。私たちの身体は、3大栄養素が足りなければ、自分の筋肉を分解してでもエネルギーを作り、生きようとします。そのくらいエネルギー産生のための栄養素を適量摂るということは大事なことです。しかし、流行りのダイエットなどの影響でタンパク質などをやみくもに大量摂取した場合、人によっては消化不良を起こしたり、身体にとって逆に悪影響になる場合もあります。そういったことを避けるためにも、今の自分の状態をしっかりと調べてから栄養補給をすることをお勧めします。( ※血液検査の意義① 血液検査の意義② 血液検査の意義③ 血液検査の意義④)身体の中でエネルギーが満ちるということは、日々の活力源となり、心も身体も健康で楽しい人生を創っていくことにダイナミックにつながっていきます。

身体の調子を整える(生体内の代謝を調節する)

3大栄養素からエネルギーを産生したり、新しい細胞をつくったり、全身で行われている代謝のほとんどに酵素が活躍します。そして、そのほとんどの酵素が働くのに、5大栄養素のうちのビタミン・ミネラルが必要です。一部例外もありますが、酵素そのものはタンパク質でできていて、そこにビタミンやミネラルがくっつくことで代謝を進めることができます。

ビタミン・ミネラルはエネルギー源にはなりませんが、3大栄養素の代謝を促し、健康維持に欠かせない栄養素です。代謝がスムーズに進むことは、身体の調子を整え、健やかな生活につながります。例えば、美肌や歯や骨で有名なコラーゲン。しっかりした3重らせんのコラーゲンを作るためにはビタミンC・鉄といったビタミン・ミネラルのサポートが必須です。

生きること自体が代謝である(※分子栄養学とは⑤ )とすると、3大栄養素とあわせてビタミン・ミネラルを最適な量(至適量)摂ることは、健やかな代謝、つまり健やかに生きることそのものであるということが言えます。ビタミン・ミネラルは、脳や筋肉などの神経細胞の働きにも関わり、身体の調子を整えるのに大活躍します。

以上、大まかな5大栄養素についてのお話です。いかがでしたか?こう考えると、普段食べているものには、何の栄養素がどのくらい入っていて、それが自分にとって足りているのか足りていないのか、知りたくなってきませんか。

5大栄養素には、身体を動かすためのエネルギーになるものだけでなく、成長や発達に関わるもの、生命を保つのに必要なもの、不足すると体調の変化に表れてしまうものなどがあります。

世の中には、病気だという診断がつかずに、さまざまな健康不安・症状で悩まれている方がおられます。そういった方々の中には、もしかしたら5大栄養素の何らかの不足、栄養素のバランスが取れていないことが原因で問題が起きている可能性があるかもしれません。そういった場合に、分子栄養学では、自分の身体を知るための適切な検査(※血液検査の意義①)を通して、医師と一緒に自分に合った栄養素を見つけ出し、科学的にアプローチしていきます。

5大栄養素(タンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル)は、身体を構成し、毎日を健やかに過ごしていくために必要不可欠な栄養素です。 どの栄養素がほんの少し不足しても健康の歯車は崩れ始める可能性があります。いつまでも健康を維持し、更なるQOL(生活の質)向上を図るためにも、分子栄養学的アプローチは希望あふれる選択肢のひとつです。

RELATED

PAGE TOP