The Orthomolecular Times

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分子栄養学とは

分子栄養学とは② 「私の身体は何でできているの?」

分子栄養学は、私たちの身体の中に正常にあるべき分子(molecule)を至適濃度に保つ(ortho)充分量の栄養素(nutrition)を摂取することによって、生体機能が向上し、病態改善が得られると考える理論です。そのことによって私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出し、オプティマムヘルス(単に病気でないだけでなく、心身ともに最高・最善の健康状態)の実現を目指します(※分子栄養学とは①)。

身体の中の分子とは

それでは、私たちの身体の中に正常にあるべき分子を至適濃度に保つ、分子の至適濃度が乱れるとはどのような状態を指すでしょう。

その前提として、まず「分子」とは何かを2回シリーズ(※分子栄養学とは③)で考えてみます。分子栄養学の分子とは、という最も基本的なところです。それには化学の基礎知識を少し学ぶことが必要になってきます。化学の基礎というと、難しいかな?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで少しお付き合いいただけますと幸いです。

私たちをいちばん小さくすると原子になる

毎日生活している家の壁や天井、お風呂のバスタブ、パソコンやスマホ。水も空気も食品も、食品を包む包装容器も。地球上にあるものはもともと何でできているか、考えたことはありますか?

木造のお家なら木だし、包装容器はプラスチック?

ここでは、それよりももっと小さな世界を考えるお話です。家も包装容器も、木やプラスチックという素材を超えてもっともっと細かくみていくと、実はこの世の中にあるもののほとんどは、「原子」というものすごく小さなつぶつぶ(粒子)でできています。食べ物も洋服も、これ以上小さくできない、というところまで小さくしていくと原子になります。本当は電子や中性子、素粒子など、もっと小さいものもありますが、物質を構成するものとしてのいちばん小さな単位は原子です。

それは、私たち生物も同じで、猫も犬も、そして人間も、細かくみていくと、実はすべて原子のつぶつぶがもとになってできています(同じ原子でも質量の違うものがいくつかありますが、原子の種類としては同じなので、それらを元素(原子の種類のこと)と呼びます。ここでは、そのような細かいところを除き、「原子」という言葉を用いて説明いたします) 。

では、どのような原子でできているかというと、例えば私たちヒトの身体の大部分を占めるのは、多い順に酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)の4種類です。その4種類の原子が身体の97%(重量割合として)を占めて、私たちができています。私たちの身体の60%を占めるといわれる水も、水素(H)と酸素(O)という原子でできています。ちょっとドライな考え方になるかもしれませんが、私たちは原子の集合体です。

そうすると「気持ちがいいな」とか「嬉しい」とか、毎日感じるこの心の素であるセロトニンやドーパミンも、実は細かく細かく細かくみていくと、原子でできています。セロトニンは化学式がC10H12N2Oなので、炭素と水素と窒素、酸素でできていることがわかります。ドーパミンはC8H11NO2なので、同じく炭素と水素と窒素、酸素でできています。どちらも同じ原子でできていますが、それぞれ使われている原子の数やつながり方が違います。なんだか不思議ですね。

分子とは、その物質の性質を示すいちばん小さな単位のこと

そして実際、ほとんどの物質は原子そのものではなく、いくつかの原子が集まってできた「分子」というつぶつぶでできています。分子とは、原子が結びついてできた、その物質の性質を示す最も小さなまとまり(いちばん小さな単位、粒子)のことです。分子には、原子が2つや3つだけくっついてできたものもあれば、何万という数の原子がくっついてできたものもあります。小さなものを低分子、たくさんの原子がつながってできているものを高分子と呼んだりします。先ほどのセロトニンも、いちばん小さな原子にわかれてしまったら、セロトニンとしての性質はもてません(どこからが高分子かは「分子量」というもので一般的に定義されているようですが、ここでは詳しいことは省略させていただきます)。

このように、地球上のほとんどのものは原子でできていますが、実際には、一つひとつの原子がばらばらにいるわけではなく、性質を示す「分子」というまとまったつぶつぶになってできています。例えば、お水の分子はH2O。水素2つと酸素1つが結びついてできています。これがたくさん集まると、普段飲んだり料理で使ったり、身体の中にある水になり、コップの水を細かく細かく見てみると、いちばん小さな単位がH2Oになっています。このH2Oという分子が、水の性質を保ってくれているいちばん基本の形、水の分子です。そのさらに先、水素2つと酸素1つまで分かれてしまうと、「水」の性質は消えてしまいます。

また、呼吸でお世話になっている酸素。その空気中の酸素は、原子Oの形か、それとも分子O2の形で存在するでしょうか?・・・答えは、酸素原子Oが2つくっついた形の分子O2の方です。空気中に含まれる酸素は、酸素という性質を示すもっとも小さなまとまりとして存在するので、性質を示すいちばん小さなまとまりである分子O2の形として存在しています。分子としてお互いに結びつく原子の数や種類、結びついてできる形は、分子の種類によって決まっていて、本当にさまざまです。

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