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【新着記事】2024.5.7 分子栄養学の基礎用語「血糖値」、「糖質」、「GI値」、「GL値」って何ですか?

ヘルシーエイジング

分子栄養学的ダイエット成功の秘訣!筋肉と基礎代謝量と栄養素のお話

これから薄着になっていく春から夏の季節。まずは健康な身体を保つ筋肉量を維持することが分子栄養学の健康的ダイエット成功秘訣のポイントです。筋肉量が維持されると、基礎代謝量の維持、つまり安静にしている状態でも使うエネルギー量が多くなります。

今回は
●エネルギー消費のカギを握る基礎代謝量について
●エネルギー産生の味方となる栄養素について
のお話です。

食べた糖質、脂質、タンパク質をエネルギーに変えるには、栄養素としてビタミンB群、マグネシウム、CoQ10、鉄が必須です。今回は、薄着になる春に向けたダイエットのキーとなる筋肉の活動を支える栄養素、ビタミンB群、マグネシウム、CoQ10、鉄のお話です。新しい年度の始まり。しっかりと3大栄養素を燃やして、春を楽しむエネルギーを獲得していきましょう!

分子栄養学が目指すダイエットの理想の身体とは

・疲れにくい
・基礎代謝量が高い
・姿勢がキレイ
・食べても太りにくい
・標準の筋肉量がある
無理やり食事を減らして体重を減らしても、“健康的にやせた” というよりも “やつれる” ことになってしまいます。「極端な摂取制限は、リバウンドの恐れがあるだけでなく健康に害を及ぼ」※1します。

食べたものをしっかり燃やし、適切な筋肉を維持しながら身体づくりをするのが分子栄養学の目指すダイエットの基本です。筋肉はエネルギー消費量が多いため、適切な筋肉を維持することは、太りにくい身体づくりにつながります。また適切な筋肉があることは、外出するなど活動的な生活も支えます。

基礎代謝量(BMR:Basal Metabolic Rate)とは

基礎代謝量(BMR:Basal Metabolic Rate)とは、目が覚めている状態で、生命活動(心拍、呼吸、体温維持、筋肉維持など)を維持するために最低限必要となるエネルギー量のことです※2。代謝とは、身体の中で起こっている化学反応のことで、生きるために必須です(※分子栄養学とは⑤)。基礎代謝量は、快適な室温(約25℃)、心身ともにストレスの少ない目覚めの状態で、約12時間以上絶食後の朝、仰向けで寝た状態(安静仰臥位)で測ります※3

基礎代謝量は、1日の使う全体のエネルギー消費量のうち、約60%を占めるものです。「総エネルギー消費量(24時間相当)は、大きく基礎代謝量(約60%)・食事誘発性熱産生(約10%)・身体活動量(約30%)の3つで構成されています。そのうち、基礎代謝量は体格に依存」※4します。

時計が動くためには乾電池や太陽光エネルギーが必要なように、人間も活動していない間にも、心臓や体温などを保つためのエネルギーが必要です。

基礎代謝量のうち、いちばんエネルギー消費量が多いのが筋肉

基礎代謝量を100%とすると、エネルギーを最も使うのが筋肉(22%)です。その次に肝臓(21%)、脳(20%)が続きます※5

筋肉量が落ちると、体脂肪率が増加する!

必要な栄養素を食べずにダイエットしていては、体重が減っても筋肉が落ちてしまうことにつながります。筋肉が減れば使うエネルギーの総量が減り、摂る食事の量は同じでも、3大栄養素がエネルギーとして使われずに余るようになり、それが脂肪に変わって体に貯まります。これがいわゆる体脂肪率の増加です。また、筋肉量が減ると動くこと自体が億劫になってしまうということにもなる恐れがあります。

糖質、脂質、タンパク質を代謝してエネルギーをつくる栄養素!ビタミンB群、マグネシウム、CoQ10、鉄

まずはしっかりと食べたものをエネルギーに変え、高い基礎代謝量のある身体づくり、筋肉が活動するためのエネルギーを確保しましょう。食べた3大栄養素をエネルギーに変えるのが、ビタミンB群などの栄養素です。

食べものの中で、エネルギーに変えることのできる栄養素を3大栄養素(エネルギー産生栄養素)といいます。具体的には糖質、脂質、タンパク質が3大栄養素です。(※5大栄養素(概論))そしてそれらを効率的に燃やす(代謝する)ことでエネルギーを貯める乾電池、ATPが作られます。ATPを作るには、ビタミンB群、マグネシウム、CoQ10、鉄などが必要です。ビタミンB群、マグネシウム、CoQ10、鉄がそれぞれどこに使われるかは、以下の図をご覧ください。

エネルギーの素、ATPが作れないということは、脳を含む身体全体の活動が落ちてしまうことにつながります。

全身のエネルギー作りの栄養素、ATPとは何かについて詳しくは※エネルギーをつくるための必須栄養素「マグネシウム、ビタミンB群、CoQ10、鉄」、もう一つのエネルギー代謝経路、解糖系については※エネルギーのための分子栄養学的必須栄養素「解糖系と乳酸とナイアシン・マグネシウム」をご覧ください。

分子栄養学の個体差に沿った栄養素の補給でダイエットを健康的に成功させよう

分子栄養学では、詳細な血液検査(※血液検査の意義①②③④)や、栄養素を消化・吸収する胃や腸内環境の検査を用いて、より細かな個体差に沿った栄養素の補給を目指します。新学期、新年度を迎えた春の季節。適正な筋肉量を保つエネルギー産生量の確保で、基礎代謝量の高い身体を維持し、分子栄養学とともに楽しい1年を始めましょう。

※1 厚生労働省eヘルスネットより引用
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html
ダイエット(だいえっと)/ 痩身 /
食事の量を制限したり、エクササイズや運動をしたりして減量すること。
極端な摂取制限は、リバウンドの恐れがあるだけでなく健康に害を及ぼす。

※2 日本生理学会 監修,日本生理学会用語委員会 編.『生理学用語ハンドブック』.丸善出版,p42.(2024)

※3 今堀 和友, 他. 監修.『生化学辞典 第4版』.東京化学同人,p338.(2007)

※4 厚生労働省eヘルスネットより引用
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html
総エネルギー消費量(24時間相当)は、大きく基礎代謝量(約60%)・食事誘発性熱産生(約10%)・身体活動量(約30%)の3つで構成されています。そのうち、基礎代謝量は体格に依存し、食事誘発性熱産生は食事摂取量に依存するため、個人内での変動はあまり大きくありません。総エネルギー消費量が多いか少ないかは、身体活動量によって決まります。

※5 厚生労働省eヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html
表2:ヒトの臓器・組織における安静時代謝量[2] 
(大河原 一憲)

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