分子栄養学と栄養素「分子栄養学の考える至適量(optimum dose)の栄養素とは」
分子栄養学の考えるヘルシーエイジングの基礎、代謝における異化=同化。
これを支える重要な基礎として分子栄養学が唱えるのが「至適量(optimum dose)の栄養素」です。
今回は、分子栄養学を学ぶ上で最も重要な基礎のひとつ「至適量の栄養素」とは何かについて一緒に考えましょう。
分子栄養学(分子整合栄養学:Orthomolecular Nutrition)の考え方の基礎
分子栄養学は、栄養素が分子レベルで生体機能にどのように関わるかを探究する学問です。
分子栄養学は身体を構成する数十兆個の「1つひとつの細胞」が必要とする
・栄養素(分子)の最適な量
・栄養素(分子)の適切なバランス
を整えることによって、細胞が正常に機能できるようになることを第一に考えます。
なぜなら私たち人間は細胞の集合体であり、細胞を構成する分子は一見ほぼ変化がないように見えますが、実は多くの分子が合成(同化)と分解(異化)を繰り返し絶えず入れ替わっているからです。
必要な栄養素を毎日しっかり摂り、まずはそれを吸収する。分子レベルで入れ替わる良い材料を十分量得て、それを身体のすみずみまで供給することが生体内での代謝(異化・同化反応)をバランス良く促進することの基礎となると考えています。(※分子栄養学におけるヘルシーエイジングの鍵!代謝=異化×同化」)
分子栄養学の考える至適量(optimum dose)の栄養素とは
そしてその際、キーワードとなるのが
・至適量の栄養素
です。至適量(してきりょう)とはどんな量を指すでしょう。
「至適(optimum)」とは、
・最適条件
というような意味です。“個々人に最もふさわしいレベル” と考えていただければわかりやすいでしょう。
分子栄養学では、栄養素の量について以下のように考えています。
ヒトの身体にはもともと自然に治ろうとする力、自然治癒力が備わっています。自然治癒力は、人のもつ能力のひとつとして捉えられています。
その自然治癒力を最大限に引き出すために分子栄養学において重要視しているのが、「至適量の栄養素」です。
身体の中に正常にあるべき分子(molecule)を至適濃度に保つ(ortho)十分量の栄養素(nutrition)を摂取すること。そしてそれを適切に消化・吸収・代謝することによって生体機能が向上し、老化の抑制・病気の予防などにつながるのではないか。これが分子栄養学の理論です。
至適量は状況によって変化する
1人ひとり栄養素の至適量は異なります。また至適量は一生不変のものではなく、年齢、環境、ストレス状況などに応じてどんどん変わります。
そこで「そのときその人に最適と言えるレベルまで分子濃度を上げていけば、最大限の生体機能がおのずと発揮され、身体が自発的に機能を高めた結果として自然治癒力が発揮されるのではないか」というのがL.ポーリング博士が提唱した分子栄養学の理論です。(※分子栄養学の歴史①)
現在では単に摂取する量だけでなく、吸収し代謝できた量によって至適量が維持されると考えられることから、栄養素の消化・吸収をつかさどる口腔内や胃腸の状態も重要視しています。(※栄養アプローチに欠かせない!最初のステップ「消化と吸収」)
分子栄養学は、至適量の栄養素で人生100年時代のQOLの向上を目指す
一般的な栄養学が「栄養素の欠乏を防ぐことによって可能となる病気などのリスク回避」を重要視するのに対し、分子栄養学では「単に病気にならないだけでなく、細胞レベルで心身ともに最高かつ最善の健康状態を目指す」のが特徴です。(※一般の栄養学と分子栄養学の違い)
分子栄養学は、細胞が正常に働くための至適量の栄養素を通して、私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出すことを目指します。
心身ともに最高・最善の健康状態を、分子栄養学では「オプティマムヘルス(optimum health)」と呼んでいます。
人生100年時代をより多くの方がより健康により豊かに送り、一人ひとりのQOL(生活の質:クオリティオブライフ)の向上につなげることで、社会の持続的な発展へ貢献することを目指します。
オプティマムヘルスを目指して
人は1人ひとりライフスタイルも含めた個性、そして個体差があります。(※分子栄養学とは⑥)
自分の歴史を重ねた「今」の健康状態は人それぞれです。しかし、人にはいつでもそのときに達成可能な健康レベルがあります。
栄養素のもつ作用を分子レベルで理解し、自分が主体となり医師とともに良質な睡眠・運動、ストレスケアを含めた規則正しい生活、食事やサプリメントで至適量の栄養素を管理する。
オプティマムヘルスの確立のために、ぜひ自分が口にする食べものを賢く選択し、そして達成可能なオプティマムヘルスのレベルの目標を設定し、そこに向かって前進していきましょう。
分子栄養学では「健康」こそが、人生にとって最高の価値であると考えています。なぜなら、健康こそがその人を輝かせる最高の手段であり財産であるからです。分子栄養学は、皆さん一人ひとりの健康自主管理を応援する学問です。
オプティマムヘルスを目指す具体的な方法
それでは、具体的にどのようにして分子栄養学による健康管理を進めればよいでしょうか。
そのためにまず提案するのが
・自分の身体の状態を知る
ことです。詳細な血液検査や腸内環境検査によって身体の状態を可視化することが、健康への第一歩です。
(※血液検査でわかる!あなたの健康状態)
(※あなたの腸は大丈夫? リーキーガット症候群(理論編②))
そして同時に提案するのが
・医師とともに身体の仕組みや栄養素の働きを学び、知識を得る
ことです。この知識がのちのち医師の提案を一緒になって考え、自分の健康を自分で守る知恵に変わります。(※自分自身の身体を知ろう)
医師による詳しい問診と血液検査データなどの解析を通して、栄養素・食事・運動・睡眠などライフスタイルを構成するすべての要素を整え、自分にとってのオプティマムヘルスを目指しましょう。
今回のまとめ
分子栄養学は、細胞が正常に働くための至適量の栄養素を通して、私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出すことを目指します。
至適(optimum)とは「最適条件」というような意味です。分子栄養学の唱える至適量(optimum dose)の栄養素とは、「そのときその人に最適と言えるレベル」の栄養素量を意味します。
分子栄養学実践医師のモニタリングのもと、詳細な血液検査・腸内環境検査によって身体の状態を可視化することが、自分に合った至適量の栄養素を知ることへの第一歩です。
医師による詳しい問診と血液検査データなどの解析を通し、栄養素・食事・運動・睡眠などライフスタイルを構成するすべての要素を整え、至適量の栄養素とともにオプティマムヘルスを目指しましょう。