血液検査の意義②「あなたの検査は何項目ありますか?」
なぜ血液検査が重要か
分子栄養学に基づいた栄養療法では、個体差(※分子栄養学とは⑥)を大切にするためのツールとして、詳細な血液検査を推奨しています(※血液検査の意義①)。
しかし、なぜ血液検査なのでしょうか。
この大前提として、私たちの脳を含む身体は、栄養素でできているということが挙げられます。私たちが毎日食べる食べものや飲みものから、必要な栄養素(分子)をとり込み、それを使って私たちの身体は日々新しい材料と入れ替わりながら存在しています。すると、そのとり込んだ栄養素がきちんととり込まれているか、とり込まれた後にしっかりと使われているか、そういった身体の中のシステムがきちんと動けているかどうかがわかるといちばんいいということがわかります。それを判断するために使われるのが血液検査です。
具体的にどういったことがわかるのかを考えてみます。
私たちが飲んだり食べたりした食材は、口の中で噛み砕かれ、胃や腸の中で身体が使える大きさまで細かくされてから腸で吸収され、そして血液の中に入っていきます。血液検査には、食べ物や飲み物がどのように吸収されたか、ということがまず反映されます。
そしてさらに、吸収された栄養素がどのように利用され、それを材料として身体にとって必要なものがどのように合成されているか、代謝産物(老廃物など)の排泄がうまくいっているかということも血液検査データから推測することができます。
その他に、感染症に罹っていないか、炎症が起きていないか、大切な細胞が壊れていないか。代謝に必要な酵素は働けているか、タンパク質合成や解毒を担う肝臓の働き、老廃物を捨てる尿を作り、血圧の調節などに関わる腎臓の働き、こういった情報の数々を知ることができます。
血液検査項目の数
次に、血液検査項目の数についてです。
一般に行われる保険診療などでは、ドクターが知りたい項目をすべて健康保険で賄うことはできません。あれも知りたい、これも知りたい、と増やしていくと、保険診療では認められなくなってしまいます。そこで、健康保険で認められる範囲で行われる診療などでの血液検査は、「病気の診断」のために項目を絞りに絞ったもので行うことになります。検査できる項目の数に非常に限りがあるのが現状です。
一方、分子栄養学の血液検査では、ただ病気かどうかだけでなく、その方の栄養状態、将来に向けて予測されるような病気になる可能性などを含めて知るために、多数の項目を検査します。そして関連する複数の項目を考慮しながら、医師とともに健康の自主管理を進めます。
今と未来の健康を守っていくために、症状から足りない栄養素を決定するのではなく、血液検査という全身の健康・栄養状態を表す数値と症状とをあわせて判断することが、一人ひとりの現状に合ったテーラーメイド・アプローチを可能にしていきます。