The Orthomolecular Times

2024.11.18 分子栄養学と運動「骨格筋が血糖値を下げる⁉ 運動効果と「GLUT4」の仕組みをわかりやすく解説」

分子栄養学とは

分子栄養学とは④ 「従属栄養生物 -自分の細胞を作る材料をいかに獲得するか」

私たちヒトは、見た目は同じでも、身体の中の分子レベルのところで毎日新しく細胞が生まれ変わり、新しい私たちが生まれています。

そして、私たちはお腹が空けば食事をし、お茶や水を飲んだりします。私たちはなぜ、栄養のために栄養素をとり込む必要があるのでしょう。

「身体を構成する分子を新しく作り替える材料のため」

「エネルギーをつくるため」

素晴らしい答えです。

そしてそれ以前にまず、私たちヒトが従属栄養生物であるということがあります。私たちは、もともと必ず栄養素をとり込む必要のある生物だからです。

私たち人間は、地球上の生物です。生物は、生命を維持して増殖する、つまり、自分たちが地球上で生きていくためのエネルギーを得て、自分の細胞を作る材料をいかに獲得するか、その栄養源の確保というのが非常に重要になってきます。そしてその栄養源のキーワードとなるもののひとつが有機物(有機化合物)※1です。地球上の生物は、その有機物の獲得の仕方で大きく2つに分類されています。独立栄養生物と従属栄養生物という分け方です。

●独立栄養生物:自分で無機物(無機化合物)※2から有機物を合成できる。生きていくために、栄養源として他の生物を食べる必要がない。

●従属栄養生物:独立栄養生物を食べたり、その独立栄養生物を食べた従属栄養生物を食べて有機物を得る生物のこと。生きていくために、栄養源として他の生物を食べなければならない。

独立栄養生物とは、自分で独立して栄養が可能な生物です。例えば葉緑体をもつ植物がこれに当たります。葉緑体をもつ植物は、太陽の光エネルギーを利用して自分で有機物を作り、自分の栄養を可能にして育ち、増殖しています。

一方、私たちヒトは、他の生物が作ってくれた有機物をとり込み、生きていかなければならない従属栄養生物です。植物が作ってくれた米や野菜、果物などを食べ、餌から有機物を得て育った魚や鶏肉などを食べ、それらから多くの有機物を得て、そのおかげさまで生きています。植食性動物、肉食性動物ともに従属栄養生物です。

有機物のうち、ヒトにとっての栄養素は、糖質、タンパク質、脂質、ビタミンなどです。栄養素とは、栄養(生命活動の営み)のために身体の外からとり入れる物質のことです。私たちが生き続けるためには、必ず必要な有機物を外から充分量摂る必要があります。

地球上の生物は、物質的にいうと、水と有機物が一定の構造をとって一緒に存在しているということもできます。実際、水を除いた筋肉や骨、脂肪など、私たちの身体の成分の多くは有機物で、乾燥重量の半分以上を炭素原子Cが占めているそうです。私たちが生物を食べるということは、ミクロな視点でみれば、その生物が持っている原子でできた有機物や無機物の中の栄養素として働いてくれるものをいただいているということになります。化学式をみてみると、例えば血糖値のもとであるブドウ糖はC6H12O6、筋肉に貯蔵されているアミノ酸、グルタミンはC5H10N2O3です。いずれも炭素原子Cが中心となった有機物であることがわかります。

“We are what we eat.” 私たちの心や身体は、毎日何をどう食べるかで決まる、という英語のことわざがあります。従属栄養生物である私たち。何の栄養素がどのくらい必要かは、その日の体調やストレス状態によっても違います。ぜひご自分に合った質の良い充分な量の栄養素を選び、身体がもつ本来の力を最大限に引き出していきましょう。そして単に病気でないだけでなく、心身ともに最高・最善の健康状態(オプティマムヘルス)の実現を目指しましょう。

※1 有機物(有機化合物)とは
私たちの身体を細かく細かくみていくと分子でできています。そして、その分子のうち、炭素原子Cを中心に構成している化合物を有機物といいます。物質の分け方のひとつです。有機物はすべて分子です。化合物とは、2種類以上の原子からなる物質のことです。
お米やイモ類に多く含まれる糖質、肉や魚などに含まれるタンパク質、魚油やアマニ油などの脂質、肉や野菜などから得られるビタミンは有機物です。

※2 無機物(無機化合物)とは
有機物以外のものをすべて無機物といいます。有機物に対をなす語です。無機物には、分子であるものと、分子ではないものがあります。
炭素を含んでいても、一酸化炭素CO や呼吸でおなじみの二酸化炭素 CO2 など単純な化合物は無機物に分類されるものがあります。塩NaClや水H2Oも無機物です。

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