The Orthomolecular Times

2024.12.16 分子栄養学と免疫の栄養素「自然免疫:好中球の働きとビタミンC」

オーラルケア

栄養療法の入り口:歯は適切なケアで守られる「よく噛むための食事の工夫」

歯の健康は定期的なケアで守ることができる

よく噛むためには、歯が必要です。歯を失う主な2大要因は、虫歯と歯周病です※1。ぜひ、3か月に1度の定期的な歯科受診で「噛む健康」を守りましょう。歯の健康は、早めの行動、適切な治療を受けることで予防や改善が可能です※1

咀嚼(そしゃく)と嚥下(えんげ)をスムーズにする歯

私たちは毎日食事をし、生きるための栄養素(※分子栄養学とは①)をとり込むために、口に入れた食べものを噛んでからごっくんと飲み込みます。この「噛む」ことを「咀嚼(そしゃく)」といい、「飲み込む」ことを「嚥下(えんげ)」といいます。これをスムーズにしてくれているのが歯です。

成人の歯の本数は28本

自分の歯の本数はご存じですか?成人の歯(永久歯)は通常28本です。(ここでは「親知らず」と呼ばれる第3大臼歯4本は除いています。)

歯の役割

28本の歯は、大きく3種類「切歯」「犬歯」「臼歯」に分けられます。歯は左右対称で、それぞれの歯にはそれぞれの役割と形の特徴があります。歯には大きく分けて発音を助ける、表情をつくる、そして食べものを噛み砕くという大切な役割があります。栄養に関わるそれぞれの歯の働きは以下のようになります。

●切歯(せっし)=食べものを嚙み切る(前、真ん中の上下左右2本ずつ)
●犬歯(けんし)=食べものを切り裂く(切歯の隣に上下左右1本ずつ)
●臼歯(きゅうし)=食べものをすり潰す(犬歯の隣から、小臼歯:上下左右2本ずつ、大臼歯:上下左右2本ずつ)。

どの歯がなくなっても食べものを自由に噛めなくなってしまうことにつながりかねません。適切な歯みがきと定期的な歯科受診を習慣に、ぜひ歯を大切にしましょう。

食事で噛む工夫

噛むことは心と身体にプラスの作用をもたらします(※噛むことは栄養のスタートライン)。では、どうしたら食事で噛むことを増やせるでしょう?「噛もうとは思っているけれど・・・」という方も多いのではないでしょうか。以下①~④まで、普段の食事をよく噛むためのちょっとしたご提案です。日ごろのお食事に、ぜひ取り入れてみてください。

噛む回数をプラス5~10回意識して

1口30回、60回、100回などといわれることがあります。しかし、実行可能な方はどのくらいいるでしょう。ぜひ、いつもの一口につき、素材の味わいを意識してプラス5~10回噛んでみてください。最初は意識することが必要でも、慣れると習慣に変わっていきます。

食材を大ぶりに切る

小さく切ったものはすぐに飲み込めてしまいますが、大ぶりに切った食材は、よく噛まなければ飲み込めません。それを利用して、自然と噛む回数を増やす食事にすることも素敵な工夫です。

一口に食べる量を少なくする

一口に食べるごはんの量を少なくほおばることもお勧めです。少なめに口に入れ、食べものを味わうことに意識を向けます。1回分が少なくなると、全体としての噛む回数が圧倒的に増加します。

味わって楽しんで食べる、“ながら食べ” をやめる

食事を味わって、楽しんで食べましょう。スマホをいじりながら、新聞を読みながらの “ながら食べ” をやめてみませんか。スマホを置き、食事に意識を向けることで素材の味を味わいます。食事や素材への感謝の気持ちとともに、優しく食事をいただきましょう。

歯で噛めることが自分が健康だという意識につながる

山形県の6700人(40歳以上)を対象とした研究では、残った歯の本数だけでなく、「歯で噛める」ことが自分が健康であるという意識(主観的健康観)につながるという報告があります※2

噛めるということは、美味しくて自分の好きなものを食材の形や硬さに関係なく、いつでもどこでも家族や仲間と、あるいは一人で食事を楽しめるということです。楽しみがあるということは、人生の楽しみ、生きがい、そして自分の主観的健康観にもつながります。ぜひ食事で噛む工夫を取り入れて、歯のケアを習慣に、健康自主管理(※自分自身の身体を知ろう:Know Your Bodyがなぜ大切か)の主軸に据えていきましょう。

※1 Tonetti M.,et al. Dental caries and periodontal diseases in the ageing population: Call to action to protect and enhance oral health and well-being as an essential component of healthy ageing—Consensus report of group 4 of the joint EFP/ORCA workshop on the boundaries between caries and periodontal diseases. Journal of Clinical Periodontology, 44:S135–S144.(2017)

※2 Ishikawa S.,et al. Association of the number of teeth and self-rated mastication with self-rated health in community-dwelling Japanese aged 40 years and older: the Yamagata cohort study. Scientific Reports,12(1):21025.(2022)

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