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子供(成長期)

子供の栄養「現代っ子にとってビタミンB群はとても消耗しやすい栄養素」

あなたのお子さんは大丈夫ですか? -もしかしたら疲れているかもしれません-

表1 お子さんにこのような症状・様子・食生活・生活が見られたら要注意です

あなたのお子さんや周りにいるお子さん達は「元気」ですか?
表1のような症状・ 様子 食生活 生活が見られていませんか?日本が高度成長期の真っ只中である1960年代から、日本の子供の身体が「なんとなくおかしい」 「どこかがおかしい」と認識され始めたようです※1。1978年にNHKと日本体育大学体育研究所が共同で「子どものからだの調査(通称: 実感調査)」 を行いました。その後もほぼ5年に1回のペースで日本体育大学体育研究所による実感調査が行われてきました。調査の回答は、教育者が日頃から子供を観察している中で気付いた事象に対して、そのような子供が「いる(最近増えている、変わらない、減っている)」 「いない」 「わからない」 の5項目から選択する方法です。最も新しい 2015年の調査では、 神経系の 「おかしさ」が上位を占めているという結果になりました(表2)※2
子供のSOSをキャッチするために始めた実感調査ですが、残念なことに子供の不調は増える一方です。なぜこのような状況に陥ってしまったのでしょうか?

 ※1 ※2子どものからだと心・編集委員会(2015)『子どものからだと心 白書2015』

表2 「最近増えている」という実感の回答率・ワースト5

ビタミンBって何者? -お互いが助け合う仲良しビタミン-

健康な身体には、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、どれも欠かすことができません。中でもビタミンは、 身体の調子を整える潤滑油のような働きがあります。
必要量は微量ですが、体内で合成できず、足りなくなると身体のいたるところに異常をきたします。ビタミンには、油に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)と、水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群・C)があります。水溶性であるビタミンBは、体内で利用された後に尿などによって排泄されてしまうため、毎日摂ることが大切です。ビタミンBには、右図の8種類があり、それらを総称してビタミンB群と呼びます。
ビタミンB群一つひとつに働きはありますが、お互いが相乗的に作用することで、体内の代謝をスムーズに行っています。一般的によく知られているのがエネルギー代謝への関与ですが、それ以外にも様々な働きがあります。

図1 ビタミンB群のメンバーたち

ビタミンB群は食事摂取基準で足りているの?

厚生労働省は、国民の健康保持・増進を図る上で望ましいエネルギー及び各種栄養素の摂取基準を発表しています。 ビタミンB群の食事摂取基準は、体内に存在する量が足りているという考えから計算されていたり、欠乏症を防ぐためのギリギリの必要量が計算されていますので、本来の必要量はもっと多いはずです。下記に一般的な食事の例を挙げました。
実際、食事摂取基準(2020年版)を基に、ビタミンB群の摂取基準と献立1と2に含まれるビタミンB群 (8種類)の充足率を一例として、10~11歳を参考に計算したところ、献立に関しては、どのビタミンBにおいても基準を満たしていませんでした。献立は、計算上表3のような結果となりましたが、必要量が多い成長期の子供において本当にビタミンB群が足りているかは疑問です(表3)。
栄養面を配慮していても、ビタミンB群は食事摂取基準を満たすことが難しいため、個人差が著しい成長期の子供たちにとって、ビタミンB群を十分に摂ることはさらに困難です。

表3 ビタミンB群の摂取基準状 10~11歳を一例として
ビタミンB群の必要量は、成長期の子供にとって個体差があります!

ビタミンB群って何に必要? -あなたのお子さんは本領発揮できていないかも!-

ビタミンB群は、代謝ビタミンとも言われ、タンパク質・脂質・糖質の代謝 (身体の材料やエネルギーに変える) に無くてはならない栄養素です。
表4にビタミンB群それぞれの主な働きと欠乏症をあげました。 多岐にわたる働きがあげられますが、 成長期の子供にとってビタミンB群が不足することで、実に深刻な問題へと発展しかねません。
表1にあげたような症状・ 様子が見られる場合、ビタミンB群の不足が関係していると考えられます。

ビタミンB1ビタミンB2ナイアシンパントテン酸
働き糖質代謝
神経機能に関与
免疫機能に関与
成長ホルモンに関与
粘膜機能維持に関与
エネルギー代謝
エネルギー代謝
免疫機能に関与
皮膚・粘膜機能維持
神経機能に関与
欠乏症神経障害
脚気
成長抑制
口内炎・口角炎・舌炎
脂漏性皮膚炎
皮膚炎
精神神経症状
(うつ病など)
成長障害
皮膚・育毛障害
神経障害
ビオチン葉酸ビタミンB12ビタミンB6
働き免疫機能に関与
細胞分化に関与
糖質・脂質代謝に関与
DNA・RNA合成
胎児の成長
(特に神経系)
アミノ酸代謝
DNA合成
ヘモグロビン合成
タンパク質・脂質代謝
神経伝達物質合成に関与
免疫機能に関与
欠乏症免疫不全症
皮膚炎
脱毛
巨赤芽球性貧血
胎児の神経管閉鎖障害・無脳症
巨赤芽球性貧血
末梢神経障害
口内炎・舌炎・脂漏性皮膚炎
精神神経症状
免疫機能の低下
表4(ビタミンB群の主な働きと欠乏症)
ビタミンB1ビタミンB2
働き糖質代謝
神経機能に関与
免疫機能に関与
成長ホルモンに関与
粘膜機能維持に関与
エネルギー代謝
欠乏症神経障害
脚気
成長抑制
口内炎・口角炎・舌炎
脂漏性皮膚炎
ナイアシンパントテン酸
働きエネルギー代謝
免疫機能に関与
皮膚・粘膜機能維持
神経機能に関与
欠乏症皮膚炎
精神神経症状
(うつ病など)
成長障害
皮膚・育毛障害
神経障害
ビオチン葉酸
働き免疫機能に関与
細胞分化に関与
糖質・脂質代謝に関与
DNA・RNA合成
胎児の成長
(特に神経系)
欠乏症免疫不全症
皮膚炎
脱毛
巨赤芽球性貧血
胎児の神経管閉鎖障害・無脳症
ビタミンB12ビタミンB6
働きアミノ酸代謝
DNA合成
ヘモグロビン合成
タンパク質・脂質代謝
神経伝達物質合成に関与
免疫機能に関与
欠乏症巨赤芽球性貧血
末梢神経障害
口内炎・舌炎・脂漏性皮膚炎
精神神経症状
免疫機能の低下
表4 ビタミンB群の主な働きと欠乏症

それでは、よくみられる1日の生活を見てみましょう。どんなところでビタミンB群が必要でしょうか?

図3 1日の生活の一例とビタミンB群が必要な場面
ビタミンB群は、成長期の子供にとって様々な場面で必要不可欠な栄養素です。

現代っ子にとってビタミンB群はとても消耗しやすい栄養素

水溶性ビタミンであるビタミンB群は、熱と水に非常に弱く、 野菜を洗ったり、 調理することで壊れたり、流れ出てしまったりします。
成長期の子供は、成長自体にビタミンB群を必要とするほか、学校や塾で脳を使う、 部活などで身体を動かす、 ストレスに打ち勝つためにもビタミンB群をたくさん必要とします。 また、特定の薬 (ステロイドなど)によってビタミンB群の吸収が阻害されたり、抗生物質を長期服用することでビタミンB群を生合成する腸内細菌を殺してしまい、体内のビタミンB群が不足してしまいます。
さらに、現代っ子達の生活といったら、 学校以外でも勉強や習い事のオンパレードで、 ストレスを発散する環境が限られています。 ストレスに負けないためにも、ビタミンB群などをしっかり摂ることが大切です。
また、ビタミンB群の必要量には個体差があるため、 子供一人ひとりがどんな場面でビタミンB群を必要としているかしっかりと考慮した上で、摂取量を検討することが大切です。

ビタミンB群が不足する要因

  • ファストフード・ジャンクフードの摂り過ぎ
  • 成長
  • 勉強
  • 運動
  • ストレス
  • 抗生物質の長期服用
  • 特定の薬の服用

愛する子のためには糖質の質と量を考えて

共働きなどで忙しいと、ついついパンなどの糖質中心の食生活になりがちではないでしょうか?糖質中心だとその糖質をエネルギーに代謝しようと、ビタミンB群が消耗されてしまいます。
さらに、砂糖や精製された穀類(白米や菓子パンなど)を大量に摂取すると、血糖値が不安定になってしまいます。その状態が続くと、低血糖という状態に陥り、イライラしたり、 キレやすくなったり、精神的に不安定な状態になってしまいます。
昨今、ひきこもり・不登校・いじめ・うつ・すぐにキレるなどが子供の間で増えているのは、こういった食生活の問題が背景にあると考えられます。
子供が健やかに、ハツラツとした毎日を送れるように、 子供の様子をよく観察しながら食生活を見直すことが何よりもの愛情なのではないでしょうか?

成長期の子供の身体 (健康・体力)と脳(やる気・集中力・学力)はビタミンB群の補給次第で変わります!

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