The Orthomolecular Times

2024.11.05 分子栄養学の食事「亜鉛を多く含む食品」

研究センターレポート

グルタチオンの抗酸化力

はじめに
ヒトは、食べ物と呼吸によって取り込んだ酸素を利用してエネルギーを作ります。
この取り込んだ酸素の一部は、活性酸素*1という物質に変化します。
この活性酸素は、過剰になると細胞障害をもたらします。
今回は、活性酸素を減らす力“抗酸化力”について、酵母エキスが配合されたサプリメントを使用したモニター試験を行いました。

酸化ストレスとは

酸化とは化学反応の一つで、物質が酸素と結びつくことです。
例えば、りんごを切ると、切った部分がしばらくすると茶色くなりますよね。これはりんごの中の特別な成分が空気中の酸素と反応することで起き、この現象を酸化といいます。

私たちは、毎日食べ物を摂取し、取り入れた栄養からエネルギーをつくりだしています。この反応において、酸素は欠かせない成分です。そしてこの反応で使われる酸素の一部が活性酸素に変わります。

活性酸素は、異物(病原体など)から身体を守るために必要な物質ですが、過剰に蓄積すると正常な細胞をも傷つける諸刃の剣です。このため、私たちの身体には活性酸を速やかに消去する仕組みが備わっております。これが抗酸化力です。
抗酸化力を上回るほど大量の活性酸素が発生し、身体を障害する状態は酸化ストレスと呼ばれ、老化の促進、さまざまな疾患のリスクなどを高めます。*2

モニター試験内容について

今回のモニター試験は、酵母エキスを配合したサプリメントによる抗酸化力の変化についてモニター試験を行いました。

モニター試験者のご紹介

今回モニター試験を行ったのは、こちらの方

これまで、特に大きな病気をしたことがない方です。
KYBグループが推奨する血液検査項目K01を毎年行っていますが、気になる点もなく、健康に過ごしています。 強いて言うなら、お酒を飲むのが大好きなため、肝臓関連の項目の上昇がみられる年があることです。ここ最近、夕食時にハイボールを飲む機会が増えてしまったので、今年の肝臓関連項目の結果を心配しています。

使用したサプリメントの紹介

今回モニター試験で使用したサプリメントはこちら
酵母エキス(グルタチオンが含まれる)を主原料としているサプリメントです。


Column:栄養素としてのグルタチオンの体内での働き

グルタエス® の摂取をお勧めする方は下記の通りです。

✅ 加工食品やアルコールをよく召し上がる方
✅ 生活習慣が気になる方
✅ お薬を継続的に服用されている方
✅ 喫煙をされる方
✅ ハードな運動をされている方
✅ 環境ストレスに不安を感じる方

A子さんは、お酒をたくさん飲む会食の日はグルタエス®を摂取しますが、常用しているサプリメントではありません。

試験内容のご紹介

モニター試験は、
(a)摂取なしパターン と
(b)摂取あり(3粒摂取)パターン の2回行いました。
今回モニター試験で使用した測定器はこちらです。

(a)摂取なし (b)摂取あり ともに、酸化ストレスレベルと抗酸化力の測定時間は下図の通りです。

酸化ストレスは、炎症反応、放射線や紫外線、喫煙やアスベストなどの化学物質への曝露、激しい運動*3などにより高まります。そのため(a)摂取なし (b)摂取あり ともに強制的に酸化ストレスを高めるために、エルゴメーター*4を使用した有酸素運動を行いました。

(b)摂取あり の時は、酸化ストレス状態ピーク時(運動直後)に、グルタエス®の有効成分が血液中に存在するように、消化管滞在時間などを考慮して、運動の約4時間前*5-7 (AM7:00すぎ)に摂取しました。

※A子さんには、今回のモニター試験実施1週間前から、いつも摂取している全てのサプリメント摂取を控えていただきました。

モニター試験結果

まずは、(a)摂取なしパターンの結果です。

運動直後に酸化ストレスが高まっていますが、抗酸化力は低下していることがわかります。

続いて、(b)摂取ありパターンの結果です。

摂取ありパターンでは、運動直後に酸化ストレスが高まっていますが、抗酸化力も高くなったことがわかります。

(a)摂取なし (b)摂取あり を比べてみましょう。

酸化ストレスレベルは、どちらも運動直後に上昇していますが、全体として(b)摂取あり は(a)摂取なし より酸化ストレスレベルが上昇していません。
逆に抗酸化力は、(a)摂取なし より(b)摂取あり が高く、抗酸化力が高まっていることがわかります。

潜在的抗酸化能をみるために、潜在的抗酸化力〔酸化力/酸化ストレス)/係数(7.51)〕*8を算出して比べてみた結果がこちらです。

この結果からも、(b)摂取あり は(a)摂取なし より潜在的抗酸化能も高いことがわかります。

以上の結果から、グルタエス®を摂取した時は、摂取しなかった時より抗酸化力が高まることが示唆されました。

ただし、A子さんの場合、(a)摂取なし (b)摂取あり ともに運動直前の酸化ストレスレベルが高く、抗酸化力が低い、慢性的な酸化ストレス状態でした(酸化ストレスレベル 300未満、抗酸化力 2,200以上 潜在的抗酸化力 1.0以上 が望ましい)。

この結果から、A子さんは、酵母エキス含有サプリメント以外にも、ビタミンCやビタミンE、αリポ酸などによる抗酸化栄養によるアプローチを継続することの重要性を実感されていました。

まとめ

今回のモニター試験では、グルタエス®の摂取により抗酸化力が高まることが示唆されました。 グルタエス®が、抗酸化対策のアイテムの一つとして、お役立ていただければ幸いです。

*当研究センターは、医師法・薬機法・食品表示法・景品表示法を遵守し、製品の安全性と適正な情報提供に努めています。本試験結果はあくまで予備的なものであり、本製品が疾病の診断、治療、治癒または予防に使用できることを示唆または保証するものではありません。本製品の利用にあたっては、それが健康補助食品であることを理解し、医師や専門家と相談の上、適切に使用することをお勧めします。

監修 KYBクリニック 院長 田畑 淳子

*1 厚生労働省 e-ヘルスネット「活性酸素と酸化ストレス」URL: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html

*2 やさしい分子栄養学2制作実行委員会(企画・制作)、株式会社分子栄養学研究所(発行)、『やさしい分子栄養学 2 慢性疲労の影でくすぶる酸化と炎症』、2022年2月1日

*3 Kazuhiro Sakai et al., "Oxidative Stress," Rinsho Kensa (Japanese Journal of Clinical Laboratory), Vol. 54, No. 8, August 2010.

*4 Shunsuke Tōtō et al., "Does Anaerobic Exercise Load on a Bicycle Ergometer Affect Oxidative Stress?" Japanese Society of Physical Therapy, 2009.

*5 Nagarjun Rangaraj. et al., Pharmaceutics. 2022 Aug 27;14(9):1807.

*6 Mette W Kling. et al.,J Neurogastroenterol Motil. 2021 Jul 30;27(3):390-399.

*7 John B Leiper.,Nutr Rev. 2015 Sep:73 Suppl 2:57-72.

*8 Nagata K, Hasegawa. et al.,Jpn J Psychosom Med. 2008;48:177–83.
  • 記事を書いたライター
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栗原美佳

分子栄養学研究所 学術部/研究センター 管理栄養士

  1. グルタチオンの抗酸化力

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