The Orthomolecular Times

2024.12.23 分子栄養学と免疫の栄養素「ビタミン・ミネラル補給と冬の感染症・免疫対策」

身体の仕組み

血管は栄養素を運ぶ!細胞の命綱「血管の種類とはたらき」

血管とは

血液は栄養素と酸素、免疫細胞、老廃物、二酸化炭素、ホルモンなどを運びます。その血液が通る道が血管です。今回の主役はこの血管。血管の中は空洞になっていて、手や足の先から頭のてっぺんまで、全身のすみずみまで張り巡らされています。その中を24時間365日、休みなしに血液が循環し、生きるための栄養素を運びます。

分子栄養学では、医師のアドバイスのもと、科学的な視点で個体差に沿った栄養素を摂り、自分にとっての最適な健康を目指します。その栄養素を運ぶ血管の仕組みを学ぶことは、分子栄養学の重要な基礎となります。ぜひ血管について一緒に学んでいきましょう。

血管には大切な役割が2つある

血管の役割は2つあります。
●栄養素と酸素を全身の細胞まで運ぶ
●細胞で出た老廃物、二酸化炭素を回収して(肝臓、腎臓、肺まで)運ぶ
です。
その他に、細胞同士の合図(ホルモン)、免疫細胞(白血球)を運んだりもします。(※白血球については ※免疫を司る白血球「白血球の仲間たちの基礎」 に説明があります。)

血液は、血管を通って、心臓から出て心臓に戻る

摂った栄養素は胃で消化され、主に小腸で吸収された後、血液にのり、血管※1を通って、手や足、頭、身体のすみずみまで送り届けられます。一方、細胞で出た老廃物は血液にのって腎臓・肝臓、二酸化炭素は肺まで送り届けられます。全体的には、血液は心臓から送り出されて、心臓に戻ってきます※2。血管は、必要なもの、要らないものを必要な場所に送り届ける血液の通る道としてはたらいています。

血管の種類(動脈、静脈、毛細血管)と主な役割

血管には、大きく分けて、動脈、静脈、毛細血管の3種類があります。それらの主な働きは以下になります。
動脈:心臓から栄養素や酸素を全身に送ります。動脈自体が伸び縮みして、血液を次へ送る役割も担います。
静脈:毛細血管が身体中の細胞から回収した血液(老廃物と二酸化炭素の入った血液。静脈血)を心臓に戻します。
毛細血管:動脈と静脈の最後のところから出た血管で、とても細かい網目状になっています。毛細血管は組織や器官(臓器)に広大なネットワークをつくって、動脈と静脈をつなぎます。毛細血管の壁はとても薄く、そのまま直接、細胞に栄養素や酸素を届けたり、細胞で出た老廃物や二酸化炭素を受け取ったりすることができます※2、※3

若い血管はしなやかで柔らかく、老化すると硬くなる

血液が全身をめぐる旅のはじまりは、心臓です。胸に手を当てると、心臓が一定のリズムを刻んでいることがわかります。そのリズムは、1分間に約60~70回。心臓がポンプの役割を果たし、そこから血管を通って血液が送り出されます。

血管はホースのようなものです。若い血管はしなやかで柔らかく弾力があり、老化すると硬い血管になって破れやすくなったり、内側の空洞が狭くなって血液が通りにくくなったりします。

血管は細胞が生きるための命綱:血管が詰まると、その先の細胞が死んでしまう

血管は身体に必要なものを送り届けるので、例えば血管が血栓(血液中でできた血の塊)で詰まってしまい、その先に血液が流れなくなると、その先で待っている細胞が栄養素や酸素を受け取ることができず、細胞は死んでしまいます。血管は私たちを構成するひとつひとつの細胞を生かす命綱です。

次回、※若々しい血管のカギ!血管の内側「血管内皮細胞」のお話 は、血管の内側をつくる細胞(内皮細胞)、血管がどのようにできているかのお話です。分子栄養学として、血管を守るためにはどうしたらよいかを考えるため、まずはその構造を細胞・分子レベルで一緒に考えていきましょう。( 「分子」については、※分子栄養学とは②※分子栄養学とは③ に分子とは何かの基本的な説明があります。ぜひご一読ください。)

※1 リンパ管を通るものもあります。

※2 Krüger-Genge, A.,et al. Vascular endothelial cell biology: an update. International Journal of Molecular Sciences, 20(18): 4411.(2019)

※3 Michel, CC.,et al. Microvascular Permeability. Physiological Reviews, 79:703-761.(1999)

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