ミネラルって何?上手なミネラル摂取が分子栄養学的健康のもと


ミネラル欠乏は深刻な体調不良を招く
ミネラルは身体で作れないため、必ず食事として摂る必要のある5大栄養素の1つです。
例えば、
・鉄欠乏:鉄欠乏性貧血
・亜鉛欠乏:味覚障害や亜鉛欠乏性貧血
・マグネシウム欠乏:筋肉のけいれん・食欲不振
・カリウム不足:食欲不振、無気力、筋力減退
など、ミネラルが不足するだけで深刻な欠乏症やさまざまな体調不良の原因となります。ゆえにミネラルは、健康維持のために必ず適量を摂る必要があります。

至適量のミネラル摂取は医師のモニタリングとともにバランス良く
ミネラルの摂取については、例えば感染症に対する十分な免疫能を確保する際のダイエタリー・サプリメントの必要性が指摘されています※1。
しかし、ミネラルの摂り過ぎが過剰症による毒性を引き起こすこともあり、その摂取の仕方には十分な注意が必要です。
分子栄養学では、ミネラル摂取の際には個体差による至適量を考慮し、詳細な血液検査とともに医師のモニタリングの上で摂ることを提唱しています。

ミネラルとは?
それではまず、「ミネラルとは何か」について一緒に見ていきましょう。
私たちをいちばん小さくすると、原子という小さなつぶつぶでできています。
私たちヒト成人において身体の60%を占めるといわれる水も、水素(H) と 酸素(O) という原子でできています。私たちヒトの身体の大部分を占めるのは、多い順に酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N) の4種類です(※分子栄養学とは②)。
ミネラルとは、この4種類以外の元素※2のうち、身体にとって必須であると証明されている元素の総称です。
ミネラルは無機質ともよばれる
ミネラルは無機質とも呼ばれます。
ミネラルの分類
①主要ミネラル(多量ミネラル)
栄養素として必須であるミネラルのうち、体内に10g以上存在し、1日当たりの摂取量が100㎎以上のものを主要ミネラルといいます。主要ミネラルは多量ミネラルとも呼ばれます。
主要ミネラルには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、イオウ、塩素があります。
②微量ミネラル
栄養素として必須であるミネラルのうち、1日当たりの摂取量が100㎎未満のものを微量ミネラルといいます。
微量ミネラルの種類としては、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、コバルト、フッ素、ケイ素などが挙げられます。
現在、日本人の食事摂取基準2020(厚生労働省)では、主要ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン)、微量ミネラル(鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン)の13種類について摂取基準を設定しています。

主要ミネラル・微量ミネラルの主な働き、欠乏状態、過剰症、多く含まれる食品
主要ミネラル、微量ミネラルのそれぞれについて、
・主な働き
・欠乏するとどうなるか
・過剰症※3
・多く含まれる食品
を下記の表にまとめています。身体の中にほんの少しだけ含まれるのが「ミネラル」ですが、健康維持増進のためにとても重要な栄養素であることがわかります。
①主要ミネラル(主な働き、欠乏状態、過剰症、多く含まれる食品)

②微量ミネラル(主な働き、欠乏状態、過剰症、多く含まれる食品)

今回のまとめ
必ず摂る必要のある栄養素、ミネラル。ミネラルは欠乏するだけで大変な体調不良が起こる可能性のある、健康維持増進のために重要な栄養素です。
しかし、むやみに量を摂ることで過剰症に陥る心配がされています。分子栄養学では、血液検査と医師による科学的なモニタリングによって、適切な摂取量を見極めることを提唱しています。
至適量のミネラル摂取で、自分自身のより良い健康管理に生かしていきましょう。
※1 Gombart AF.,et al. A Review of Micronutrients and the Immune System–Working in Harmony to Reduce the Risk of Infection. Nutrients, 12(1):236.(2020) ※2 元素とは 同じ原子の中には質量の違うものがいくつか存在することがありますが、原子の種類としては同じなので、それらを元素と呼んでいます。例えば、水素原子(H)には質量が違うものが3種類あります(陽子の数は同じだが中性子の数がそれぞれ0個、1個、2個のもの)。しかし、すべて性質は同じ「水素」です。この、質量が違うが性質が同じ複数の原子を1つの種類として考える際、「元素」という言葉が使われます。元素とは、原子の種類のことです。 ※3 糸川 嘉則 (編).『ミネラルの事典(新装版)』.朝倉書店.(2021) ※4 糸川 嘉則.代替医療としてのビタミン・ミネラル.日本補完代替医療学会誌,1 (1) : 41-52. (2004)