The Orthomolecular Times

2024.12.16 分子栄養学と免疫の栄養素「自然免疫:好中球の働きとビタミンC」

分子栄養学とは

分子栄養学とは⑦-1「化学反応は実験室で起きているんじゃない?」

代謝とは、生体内における化学反応のことです (※分子栄養学とは⑤ )。
そして、この代謝と切り離せない、とても大切な存在が酵素(こうそ)です。

代謝では、連続的な化学反応が起こっており、これをスムーズに進める役割を酵素が担ってくれています。酵素がいてくれなければ代謝ができずに、私たちは生きていくこともできません。それくらい、酵素は健やかな心と身体にとってとても大切な存在です。

分子栄養学とは⑦では、3回シリーズで酵素と代謝について考えていきたいと思います。今回はその1回目です。

化学反応とは

酵素について考える前に、まずは化学反応について考えたいと思います。

化学反応というと、なんだか実験室で行う特別なもの、というイメージがありませんか?

でも実は、さまざまな化学反応が私たちの身のまわりで起きています。

化学とは、もともと「もの(物質)」が何からでき、どのような性質や特徴をもっているか、そして反応などによってどのような別のものに変化するかを調べる学問です。化学反応とは、もとの物質から別の物質ができていく変化のことを指します。変化の前後で物質の種類が変わる変化のことです。(物質において、もとの物質から別の物質ができていく変化そのものを化学変化、その過程を化学反応とする説明もあります。ここでは区別せずに化学反応という用語を用います。ご了承ください。)

身のまわりの化学反応

例えば、料理をするときにガスコンロに火をつけますが、このガスに火がつく、というのが化学反応です。皮を剝いたりんごをそのままにしておくと茶色くなっていく、こういった反応も化学反応です。

単に「化学反応」と聞いても、もしかしたら興味がわかないかもしれませんが、このように身のまわりの生活のところにフォーカスしてみると、私たちの身近なところで化学反応は起こっています。セロテープも、乾電池も、洋服の化学繊維も、髪の毛のパーマも、夜空を彩る花火も、すべて化学反応を利用した例のひとつです。

化学反応は生体内でも起きている

それと同じように、化学反応は「もの」だけでなく、生体内でも起こっています。例えば、食べたものを胃や腸で吸収できる形まで細かくしたり、食べた3大栄養素(※5大栄養素(概論))からATPという電池のような分子にエネルギーを蓄える反応、これも化学反応です。反応の前後で、Aという物質がBという別の物質に変わります。私たちが生きている間は、生体内のあちらこちらで化学反応が起きています。この生体内における化学反応を代謝といい、私たちは代謝のおかげで生きることができています。

それをもっと細かい目でみてみると、こうなります。

もともと、私たちの身体をいちばん小さくした生きた単位である細胞は分子でできており、その分子は原子でできています(※分子栄養学とは① 分子栄養学とは② 分子栄養学とは③)。分子には、小さな分子や、それらがくっついてできた大きな分子などいろいろありますが、その分子の中の原子同士が離れたり(分離)くっついたり(結合)して、原子が結びつく相手をかえ、組み合わせが変化して、別の物質ができる反応を、化学反応といいます。

代謝と化学反応

生体内では、代謝という化学反応がいつも起きています。そして、その代謝には異化と同化があります(※分子栄養学とは⑤ )。大きな分子・複雑な分子が分解されて、より小さな分子・単純な分子ができていく反応を異化といいます。小さな分子・単純な分子が結合して、より大きな分子・複雑な分子ができていく化学反応を同化、と呼んでいます。異化や同化を経て、Aという物質はBという別の性質の物質に変わります。

こういった変化が、今この瞬間も必要に応じて生体内で起きて生命を支えてくれています。Bが必要だ、それにはAをBに変える必要がある、と身体が判断したら、その瞬間にその化学反応が素早く起こってBを用意してくれています。

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