The Orthomolecular Times

【リニューアル記事】2024.6.24 分子栄養学とは① 「一般の栄養学と分子栄養学の違い」

栄養素のお話(基本編)

分子栄養学の栄養素:ビタミンB群を知る②「ビタミンB群は8種類一緒に摂ることが合理的!」

なぜ8種類のビタミンBが「ビタミンB群」として分類されているか?

ビタミンB群は、1つひとつの細胞が生きるために必須の8種類の水溶性ビタミンです。ビタミンB群は、細胞が健康に働くために、数百もの反応の酵素の補酵素として働いています※2※ビタミンB群を知る①「ビタミンB群は8種類ある!」)。なぜこれら8種類の水溶性ビタミン(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)が一緒に「ビタミンB群」としてまとめられているのか、ご存じですか?

その理由は、化学的な構造が似ているからということではありません。8種類すべてが水溶性であり、それら8種類のビタミンB群がお互いに補酵素として細胞の働きに密接に関わっていることが理由として挙げられています※1

ビタミンB群は8種類合わせて摂ることが合理的

そこで、同じ報告の中では、ビタミンB群不足の解決方法として、ビタミンB群の中から、例えばビタミンB1だけ、ナイアシンだけ、ビタミンB6だけ、また8種類のビタミンB群の中から2~3種類だけを選んで摂るよりも、ビタミンB群全体を一緒に摂った方が合理的であるとする意見が示されています※1。なぜなら、それら8種類のビタミンは、すべて深く関わりながら体内で働いているからです。

ビタミンB群はどのようにお互いに関わっているか

それでは、ビタミンB群はお互いにどのように関わっているでしょうか。ビタミンB群の関わる何百もの反応のうちのひとつの例として、エネルギー代謝経路を見てみましょう。

まず、エネルギー(ATP)産生(異化作用)の代謝経路、クエン酸回路と電子伝達系について考えます。これらの代謝経路に特に関わるのが、ビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸です(※エネルギーをつくるための必須栄養素「マグネシウム、ビタミンB群、CoQ10、鉄」)。この4つのビタミンB群のどれが欠乏してもエネルギー産生全体の反応が滞り、細胞の活動に悪影響を及ぼします※1。また、ビタミンB1、ビオチンはエネルギー産生のうちの解糖系や乳酸の代謝に関係し(※エネルギーのための分子栄養学的必須栄養素「解糖系と乳酸とナイアシン・マグネシウム」)、ビタミン B12は、クエン酸回路が効率的にまわっていくための物質を供給するのに貢献します※1、※3、※4

そのほか、ビタミンB6はエネルギー産生に重要な酸素を運ぶ赤血球のヘモグロビンの合成※5、葉酸とビタミンB12は赤血球の成熟に関わって骨髄で正常な赤血球をつくります※6。また、ビタミンB6とナイアシンは食べたタンパク質(アミノ酸)が代謝されていく際に働きます。(※必ず摂る必要がある必須栄養素「タンパク質」

分子栄養学では、ビタミンB群は8種類一緒に摂ることをお勧め

このように、エネルギー代謝に関わるところだけを見てみても、ビタミンB群はお互いに深く関わり合いながら働いています。せっかく摂ったビタミンに効率的に働いてもらうために、分子栄養学では8種類のビタミンB群を合わせて摂ることをお勧めしています。

快適な脳や身体に必須の基礎となる栄養素、ビタミンB群。ぜひ腸内環境を整えて腸内細菌にもつくってもらい(※ビタミンB群を知る①)、毎日の至適量摂取で健康自主管理に生かしていきましょう。

※1 Kennedy, DO. B Vitamins and the Brain: Mechanisms, Dose and Efficacy—A Review. Nutrients, 8(2): 68. (2016)

※2 Peterson, CT., et al. B Vitamins and Their Role in Immune Regulation and Cancer. Nutrients, 12(11): 3380. (2020)

※3 Rivlin R.S. Riboflavin (vitamin B2) In: Zempleni J., Rucker R.B., McCormick D.B., Suttie J.W., editors. Handbook of Vitamins. 4th ed. CRC Press; Boca Raton, FL, USA.(2007)

※4 日本ビタミン学会 編集.『ビタミン・バイオファクター総合事典』.朝倉書店.p240.(2021)

※5 医療情報科学研究所 編集.『病気がみえる vol.5 血液 第1版』.メディックメディア.p26.(2008)

※6 医療情報科学研究所 編集.『病気がみえる vol.5 血液 第1版』.メディックメディア.p28.(2008)

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