The Orthomolecular Times

2024.12.23 分子栄養学と免疫の栄養素「ビタミン・ミネラル補給と冬の感染症・免疫対策」

ヘルシーエイジング

分子栄養学と運動「習慣的な運動がキレイな姿勢、骨格筋をつくる!」

健康的なダイエットの強い味方、骨格筋。分子栄養学の理想のダイエットの目指す「キレイな姿勢」を保つのは骨格筋の仕事です。骨格筋は、良い姿勢、呼吸や動きを支えます。今回は正しいダイエット、健康で楽しい生活を支える筋肉と骨格筋について基礎から一緒に考えましょう。

筋肉、骨格筋とは何か?

筋肉とは、「身体や臓器を動かすための原動力となる器官」※2です。筋肉は、体内に存在している場所によって心筋、内臓筋、骨格筋の3つに分けられています。このうち、運動に関わるのが骨格筋です。関節ごしに骨にくっついた骨格筋が縮んだり(収縮)伸びたり(弛緩)することで骨が動き、全体としての身体が動きます。骨格筋は自分の意識でコントロールできる筋肉(随意筋)です。骨格筋の重さは体重の約40%を占めており、ヒトの身体でいちばん重い器官です※2

骨格筋は加齢とともに衰える

人は20~30歳頃までに、生理機能に関わるすべてが発達し終えます※1。そしてその後すべての人が60~70年かけて老化し続けます※1。骨格筋は加齢とともに衰え、64~70歳までに約20%、80歳以上では約50%の人が骨格筋が衰える状態(サルコペニア)になるとの報告があります※3、※4

生活活動や運動を上手に取り組むことが生活習慣病の予防につながる

しかし、老化のスピードは人それぞれです※1。その老化のスピードを緩やかにするカギのひとつが、骨格筋による生活活動や運動だと報告されています。座りっぱなしではなく、骨格筋が支える生活活動や運動をいかに生活の中に取り入れるかどうか、そしてそれを良い食事・睡眠など他の生活習慣を組み合わせることで生活習慣病の予防につながるというものです※1。このことはつまり、どこでも誰でも平等に、自分の可能な範囲でアンチエイジングに取り組み始められるということを示しています。

習慣的な生活活動と運動で骨格筋を維持することが、老化のスピードを遅くする

適切な生活活動や運動※5を習慣的に続けることが、加齢による筋肉量の減少と活動する力の衰えを大幅に改善できると報告されています。運動の種類としては、適度な有酸素運動、筋力トレーニングのほか、高齢者ではバランストレーニングが良い効果をもたらすことも報告されています※1

立って会話するだけで、静かに座っているよりも1.8倍エネルギーを消費する

「そういえば、座りっぱなしの時間が多い」
「最近運動してないな」
そんな方は、風呂掃除や床掃除などのお掃除から始めるのはいかがでしょうか。家事も立派な生活活動です。骨格筋を維持する運動になるとともに、家までキレイになって、一石二鳥。風呂掃除は、静かに座っているときよりもなんと3.5倍ものエネルギーを使います※6。「ストレッチからなら始められるかな?」ストレッチは2.3倍※7、立って会話したり読書したり皿洗いすることは1.8倍エネルギーを消費します※6

生活活動や運動は血管を守り、骨格筋を支える栄養素や酸素を運ぶ

身体を動かすことは、良い血流につながります。適度な血流は血管を守ることにもつながります(※若い血管を取り戻すための分子栄養学「血管内皮細胞のターンオーバー」)。血管は骨格筋を支える栄養素や酸素、老廃物などを運ぶ大切な道であり、全身の健康を支える影の立役者です(※血管は栄養素を運ぶ!細胞の命綱「血管の種類とはたらき」)。 適度な生活活動や運動で骨格筋を保つことは、基礎代謝量を高め、肥満の改善にも役立ちます。ぜひ5月の爽やかな季節に、無理のないところから運動を一緒にスタートしていきましょう。

※1 Izquierdo, M.,et al. International Exercise Recommendations in Older Adults (ICFSR): Expert Consensus Guidelines. Journal of nutrition, health and aging, 25(7):824-853. (2021)

※2 『からだがみえる 人体の構造と機能 第1版』.医療情報科学研究所.pp6-7,pp29-35.(2023)

※3 Baumgartner RN,et al. Epidemiology of sarcopenia among the elderly in New Mexico. American Journal of Epidemiology, 147(8):755-763. (1998)

※4 Iannuzzi-Sucich, M.,et al. Prevalence of sarcopenia and predictors of skeletal muscle mass in healthy, older men and women. Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences, 57(12):M772-M777. (2002)

※5 厚生労働省eヘルスネットより引用
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-00-002.html
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:成人版
「1.身体活動とは
身体活動とは、安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴う全ての活動のことです。身体活動は、日常生活における家事・労働・通勤・通学などに伴う「生活活動」と、健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施される「運動」の2種類に分類されます。」(丸藤 祐子、岡 浩一朗)

※6 厚生労働省『生活活動のメッツ表』2023年8月版
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/mets.pdf

※7 厚生労働省『運動のメッツ表』2023年8月版
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/mets.pdf

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