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2024.12.23 分子栄養学と免疫の栄養素「ビタミン・ミネラル補給と冬の感染症・免疫対策」

食事

分子栄養学の基礎用語「血糖値」、「糖質」、「GI値」、「GL値」って何ですか?

分子栄養学は健康自主管理の基礎として「血糖値コントロール」を重要視

分子栄養学では、血管を守り※1、肥満対策※2、※3ともなる「血糖値コントロール」を、健康自主管理理論のひとつとして重要視しています。

その際、「低GI食品、高GI食品」という言葉が出てきます。「言葉は聞いたことありますが・・?」という方も多いのではないでしょか。今回は、血糖値コントロールにまつわる言葉「血糖値」、「糖質」、「GI値」、「GL値」について基礎から一緒に学びましょう。

血糖値とは

血糖値とは、血液100ml(1dL)に、ブドウ糖(グルコース)がどのくらい含まれているかの値です。ブドウ糖は、糖質(ごはんやパン、麺など)のいちばん小さな単位です。食べた糖質は消化された後、小腸でブドウ糖として吸収され、血液に乗って全身に運ばれてエネルギーの素として活躍します。

ブドウ糖は全身の細胞のエネルギー源となるため、値が高すぎず低すぎず、いつも適度に血液中にあることが理想です。しかし、ホルモンの乱れやインスリン抵抗性などで血糖値のコントロールが悪くなると、その値が変動しやすくなります。空腹時血糖値126㎎/dL以上は糖尿病を疑います。血糖値が低すぎる場合、低血糖症を疑います。低血糖とは血糖値が70㎎/dL以下のことをいいます※4。日本糖尿病学会の 75gOGTT に基づいた基準により、80㎎/dL未満を低血糖とするのが妥当であるとする報告もあります※5

食後高血糖や血糖値コントロール不良は、肥満、動脈硬化、心血管疾患、糖尿病などにつながる可能性が明らかになってきており、適切な血糖値コントロールは体重管理を含めた健康自主管理の重要な手段となります。(※血液・尿検査の意義 Ⓒ糖・脂質代謝

糖質とは

5大栄養素の中の炭水化物※6から食物繊維を除いたものの総称を糖質といいます。ヒトが吸収してエネルギーを作ることのできる栄養素です。糖質1gは約4kcal のエネルギーを産生できます※7。分子栄養学では、血糖値コントロールの手段のひとつとして、食品中にどのくらいの糖質(g)が含まれているかの値、「糖質量」のコントロールを提案しています。どんな食品に糖質が多いのか、分子栄養学では1食でどのくらいの糖質量が勧められるのかについては、※食事の基本をご覧ください。

GI値(グリセミック・インデックス.Glycemic Index)とは

血糖値の上がりやすさを示す指数です。ブドウ糖(もしくは白いパン※8、※9)50gを摂取したときの血糖値の変化を2時間記録し、そのグラフデータの下面積を基準(100)とします。そして糖質50gを含む食品(例えば、発芽玄米、胚芽米、白米など)を摂取し、その後の血糖値の変化を食品ごとに2時間測ります。その上昇したカーブの面積を、基準となるブドウ糖(もしくは白いパン)のカーブの面積と比較して、その何%にあたるかを表した数値がGI値です。未精製の食品は精製された食品よりもGI値が低いと考えられています。

2015年の論文では、GI値が70以上の食品を高GI食品 、55以下の食品を低GI食品と定義しています(ブドウ糖を100としている場合)。ブドウ糖(a glucose solution)と白いパン(white wheat bread)を基準としたものは、それぞれ「the glucose scale」と「the bread scale」として定義されます※9

GI値の数字が大きいほど食後の血糖値は上がりやすく、数字が小さいほど血糖値が上がりにくいということを示しています。ただし、GI値は文献によって数値が異なったり、多くの研究は対象が欧米人の健常人であったりするため、KYBグループにおける分子栄養学では、糖質量や食べ方(野菜、肉魚などのおかずを最初に食べる)をメインにして、GI値を参考程度に(例えば、白米を胚芽米、発芽玄米に代えるなど)紹介しています。

GL値(グリセミック・ロード.Glycemic Load)とは

食品中の糖質量をGI値に掛け合わせ、100で割ったものがGL値(Glycemic Load)です※9。食事で摂取する糖質の質と量を同時に示す指標です。例えば、血糖をゆるやかに上げる食品でも、その摂取量が多いとGL値は高くなります。逆に、血糖を急激に上げる食品(高GI食品)であっても、その量が少なければ、血糖を上げる力は弱くなります。

2015年の論文によれば、GL値算出にあたって使用される糖質量は、標準的な食事1回あたりで食べる糖質量、食品100g中に含まれる糖質量、食品1,000kcal中に含まれる糖質量など、場合によって違う糖質量を基準に計算することができます※9

KYBグループの分子栄養学では、食べる順番、糖質量、低GI食品で血糖値コントロール

肥満や2型糖尿病、血管の健康に関わるとされる食後高血糖。適切な血糖値コントロールが健康のカギを握ります※1、※10。分子栄養学では、健康的なダイエット、健康維持増進のためのひとつの手段として、血糖値を上げる栄養素、糖質の質と量をコントロールすることを提唱しています。その根拠となる肥満改善への医学理論について、※「カロリーの摂り過ぎ」だけが太る原因ではない⁉ 肥満の理論「エネルギーバランスモデル」※食後高血糖はダイエットの敵! 肥満の理論「糖質-インスリンモデル」の2回に分けてご紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

ゆっくり噛んで食べることも良好な血糖値コントロールに重要

よく噛んでゆっくり食べることも、良好な血糖値コントロールにつながります。※分子栄養学の食事 を参考に、食べる順番(野菜やおかずから先に食べる)、糖質量、低GI食品を選ぶなど、適切な血糖値コントロールで、健康自主管理(※自分自身の身体を知ろう:Know Your Bodyがなぜ大切か)に役立てていきましょう。

※1 Jenkins, DJA., et al.  Glycemic Index, Glycemic Load, and Cardiovascular Disease and Mortality. New England Journal of Medicine, 384:1312-1322.(2021)

※2 Ludwig, DS., et al. The carbohydrate-insulin model: A physiological perspective on the obesity pandemic. American Journal of Clinical Nutrition, 114(6): 1873-1885.(2021)

※3 Ludwig,DS., et al. The Carbohydrate-Insulin Model of Obesity: Beyond ‘Calories In, Calories Out’. JAMA Internal Medicine, 178(8): 1098-1103.(2018)

※4 Desouza, CV.,et al. Hypoglycemia, Diabetes, and Cardiovascular Events. Diabetes Care. 33(6): 1389-1394. (2010)

※5 永田 勝太郎,他.「Flash Glucose Monitoring(FGM)時代の血糖値の分類 ―低血糖・血糖値スパイクを中心に― 」.『全人的医療―COMPREHENSIVE MEDICINE』, 19(1):21-30.(2020)

※6 炭水化物とは
「炭水化物は炭素と水素の化合物で、たんぱく質、脂質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつです。 食物として体内に取り入れられエネルギー源となる糖質と、体内の消化酵素では消化できない食物繊維があり、糖質は単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。」※厚生労働省 eヘルスネットより引用
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html#:~:text=%E7%82%AD%E6%B0%B4%E5%8C%96%E7%89%A9%E3%81%AF%E7%82%AD%E7%B4%A0%E3%81%A8%E6%B0%B4%E7%B4%A0,%E7%B3%96%E9%A1%9E%E3%81%AB%E5%88%86%E9%A1%9E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

※7 1g当たりのエネルギー産生量は、糖質4kcal、タンパク質4kcal、脂質9kcalです。

※8 ここでは、精製された白い小麦粉を使ったパン(white wheat bread)のことです。

※9 Augustin, LSA., et al. Glycemic index, glycemic load and glycemic response: An International Scientific Consensus Summit from the International Carbohydrate Quality Consortium (ICQC). Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases, 25(9) : 795-815.(2015)

※10 Vlachos,D., et al. Glycemic Index (GI) or Glycemic Load (GL) and Dietary Interventions for Optimizing Postprandial Hyperglycemia in Patients with T2 Diabetes: A Review. Nutrients, 12(6): 1561.(2020)

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