The Orthomolecular Times

2024.12.16 分子栄養学と免疫の栄養素「自然免疫:好中球の働きとビタミンC」

各種検査について

血液検査の意義③「”基準値”と”平常値・目安値”」

一般の血液検査における基準値(基準範囲)と、分子栄養学における個人の平常値、目安値の違い

健康診断の結果。「今回、判定がDだった・・・」「今回は大丈夫だった!」

基準値内であれば大丈夫・・?

一般に会社や自治体において行われる健康診断や一般の医療機関の血液検査は、ある病名を想定して採血する「病気の発見」が目的です。そして、その診断基準は、基準値から結果の数値が外れているかどうかが問題になります。外れていたらまずい、と思ったことはありませんか?

基準値は個人の正常値ではない

しかし、その基準値は、実は個人の正常値を表すものではありません。目安となる参考値かもしれませんが、その個人の基準値は一人ひとりが少しずつ違っています。個体差があるからです(※分子栄養学とは⑥)。分子栄養学では、この個体差の違いによる個人の基準値を、個人の平常値と呼んでいます。

なぜ、基準値は個人の正常値ではないの?

一般に参考にされる多くの「基準値」は、「健常者(病気がない)とされる集団」のデータを集め、統計学的に求めた全体の95%の人が含まれる範囲を示したものです。そうすると、健常者であったとしても、少し高めだったり、あるいは少し低めだったりする方たちの分が必ずそれぞれ2.5%ずつ外されます。しかし当然、集まった人たちの間には個体差が存在するため、基準値を集団ではなく個人で考えた場合、その範囲の幅は「基準値」よりもずっと狭くなることが考えられます。

また、その95%の人が含まれる値を、かつては「正常値(正常範囲)」と呼んでいましたが、外された5%に入っても「健常者」であったり、正常範囲内であっても健康とみなされない場合もあります。そこで「正常」という表現によって誤解や混乱を招くことを避けるため、正常値(正常範囲)という言葉はなくなり、基準値(基準範囲)という言葉が用いられるようになりました。そして、基準値から外れていても、他の関連する検査項目や生理的な要因などとともにバランスよく総合的に判断することが行われています。

それぞれのデータのバランス、数値の経時的変化を重要視

以上のことから、個体差を大切にする分子栄養学において、保険診療で行われている血液検査における基準値は、個体差を考慮するには不十分、と考えます。中には統計的に求められたものではない空腹時血糖値などの「臨床判断値」というものも存在します。それらも参考にしながら、分子栄養学の分野では、それぞれのデータのバランス、数値の経時的変化を重要視します。

分子栄養学の「目安値」

その他に、分子栄養学では、健康管理を行う上で適正と思われる参考値を「目安値」として示している項目もあります。それは、これまでの分子栄養学分野で積み重ねた莫大なデータから導き出した、健康状態を維持・改善していくのに必要な代謝を得るための参考値です。

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