The Orthomolecular Times

2024.10.21 分子栄養学の皮ふ(肌)の抗酸化栄養素①「抗酸化酵素と鉄、亜鉛、マンガン、セレン、ビタミンB2」

身体の仕組み

秋の分子栄養学的紫外線対策のススメ①「紫外線が起こす酸化ストレスって何?」

紫外線は、春や夏だけでなく秋にも対策が必要なことをご存じですか?

今回は

  • 紫外線とは何か
  • 紫外線によるダメージとその原因となる酸化ストレス
  • 秋の紫外線量
  • 秋にもお勧めの分子栄養学的紫外線対策(抗酸化栄養素)

についてお届けします。一緒に勉強していきましょう。

紫外線(UV)とは

地球に届く太陽の光。毎日太陽が昇って光を届けてくれることで朝が来たということがわかります。

太陽の光にはいろいろな性質の光が混ざっています。紫外線 (UV:Ultraviolet radiation)はその中の目に見えない光のひとつです。

私たちは適度な太陽光を直接浴びることで、健康維持に重要なビタミンD3を作ることができます。明るい日射しは部屋の中を明るくもしてくれます。

しかし、太陽光に当たりすぎると身体に害が生じます。その原因となるのが紫外線です。毎日浴びる太陽光の中の紫外線が私たちの目や皮ふ(肌)に大きな影響を与えます。

人に害を与える紫外線(UVA、UVB)

人に害を与える紫外線は以下の2つに分類されています。

  • UVA(地上に届く紫外線の90~95%)※1
  • UVB(地上に届く紫外線の10~5%)※1

UVAはガラスも通りぬけるので家の窓際や自動車の運転中でもさらされる可能性がある紫外線です※2。一方、UVBは窓ガラス越しで遮られる紫外線です※2

何十年にもわたって太陽光にさらされることよって起こる皮ふ(肌)のダメージは「光老化」と呼ばれます。紫外線(UVA、UVB)は皮ふの老化を加速させる要因のひとつとして考えられています※2、※3

紫外線(UVA、UVB)は季節や時間、場所によって量は違うの?

UVBは夏(5~8月)に多く、冬(11~2月)の4~6倍降り注ぐ一方、夏に届くUVA量は冬の2倍弱との報告があります※4。UVAは1年間を通してコンスタントに地上に届く紫外線です※2、※4

東京の夏の場合、紫外線はお昼ごろに多く、10~14時頃に1日に降り注ぐ紫外線の60%が届きます※5

紫外線量は季節(春夏秋冬)、時刻、地域、緯度などによっても変化します※6

紫外線が起こす害の原因のひとつ、酸化ストレスとは

過剰な紫外線はなぜ人体にとって害となるのでしょう。

その原因のひとつと考えられているのが、紫外線によって発生する

  • 活性酸素
  • フリーラジカル

の存在です※7、※8

活性酸素やフリーラジカルは身体の正常な反応にとって必要なものですが、過剰に発生してしまうと身体の中ではたらく分子や細胞を傷つけ(酸化)、それが老化につながると考えられています。

酸化とは何かを説明する際、よく使われるのが「サビ(錆び)」という言葉です。例えばリンゴを切って空気にさらしておくと茶色くなります。あれが「サビ」つまり「酸化」の一例です。

私たちの身体は過剰な紫外線を浴びることで、どんどん酸化が進むと考えられています※7、※8

しかし私たちの身体は、もともとこのサビから身体を守るシステムを備えています※8。「酸化」に「抗う」力、「抗酸化能力」※9です。

生体内ではたらく抗酸化物質※10としては、グルタチオンや抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼなど)が例として挙げられます。私たちが毎日の食事から摂る天然の抗酸化物質(「ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類」※9など)も私たちの抗酸化の力となると考えられています。

酸化ストレスは、活性酸素の産生が過剰になり、酸化と抗酸化のバランスが崩れた状態を指しています。

しかし、毎日続けて紫外線を浴びることで発生する活性酸素やフリーラジカルは、自分のもっている抗酸化能力を超えてしまう場合があります。その超えてしまった部分が酸化ストレスとなり、身体をサビつかせる原因になると考えられています※7

紫外線の悪影響

紫外線を浴び続けると、目や皮ふに下記のような影響が出ることが考えられています。

  • 目(角膜病変、白内障、緑内障、加齢性黄斑変性、がんなど)※11
  • 皮ふ(しみ、しわ、たるみ、がんなど)※3、※6

秋になると夏に比べて暑さや日射しが和らぎ、ほっとする方も多いことでしょう。

しかしUVインデックスにより、まだまだ紫外線対策が必要な日々が続いていることがわかります。

紫外線から身を守るための指標、UVインデックスとは

私たちが日常の中で毎日の紫外線量を参考にできる指標が、環境省・気象庁が発表しているUVインデックスです。UVインデックスは、紫外線(UVA、UVB)が総合的に人に及ぼす影響、皮膚に赤い日焼けを生じさせる紫外線の量(紅斑紫外線量)として計算されています※12

UVインデックスは、紫外線による健康障害を防ぐためにWHO(World Health Organization:世界保健機関)が推奨している世界共通の指標です※13

UVインデックス3以上で日焼け止めの使用が勧められています。環境省ではUVインデックス3~7は「日中は出来るだけ日陰を利用しよう。出来るだけ長袖シャツ、日焼け止め、帽子を利用しよう」と呼びかけています。

UVインデックスは紫外線の強度に応じて、1~2は「弱い」、3~5は「中程度」、6~7は「強い」、8~10は「非常に強い」、11以上は「極端に強い」として区分されています※14

日本全国の秋の紫外線量(2023年10月の月平均値)

気象庁発表の2023年10月における代表的な日本各地の日最大UVインデックス(月平均値)は、以下のようになります※15

  • 札幌(2.1)
  • 秋田(2.5)
  • 仙台(2.9)
  • 福島(3.0)
  • 東京(3.5)
  • 金沢(3.1)
  • 名古屋(3.5)
  • 京都(3.5)
  • 広島(3.7)
  • 福岡(3.6)
  • 那覇(6.3)

上記より、10月はまだまだ紫外線対策が必要な日々が続いていることがわかります。

自分の住んでいる地域の毎日、時間ごとのUVインデックスは?

気象庁ホームページ(https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvindex/uvtrans.html?elementCode=0&areaCode=6&placeCode=47)では、日本全国各地の毎日朝6時~夕方18時までの1時間毎のUVインデックス予報を確認することができます。紫外線から身を守る手段のひとつとしてご参照ください。

分子栄養学では、秋の紫外線対策として十分な抗酸化栄養素の摂取をお勧め

10月でもまだまだ多い紫外線。紫外線を浴び続けることで目や皮ふで酸化ストレスが発生する可能性が高まります。

活性酸素やフリーラジカルの増加は、身体の中にある抗酸化能力の低下が原因であることも一緒に報告されています。例えば皮ふのもつ抗酸化能力は加齢とともに低下し※3、※16、老化した皮ふは紫外線にさらに弱くなることが示されています※3、※16

秋の紫外線対策として、引き続き日焼け止めやサングラス・日傘を使用し、日陰を選んで行動しましょう。

分子栄養学では上記のような対策に加え、身体の中からの紫外線(UV)対策をご提案いたします。皮ふ(肌)や目の紫外線対策に、ビタミンC・ビタミンE・グルタチオン・ナイアシンなどの抗酸化栄養素ネットワークが酸化ストレスから身体を守るための強い味方であると考えています。(※肌と目の紫外線対策

今回のまとめ

日本の秋は、目や皮ふを傷つける可能性のある紫外線対策がまだまだ必要な季節です。日焼け止めやサングラス・日傘の使用を続けましょう。

分子栄養学では紫外線によって起こる秋の酸化ストレス対策のため、医師のモニタリングのもとで行うビタミンC・Eをはじめとした抗酸化栄養素ネットワークの摂取をお勧めしています。

分子栄養学の理論を一緒に学び、効果的な紫外線対策を行っていきましょう。

※1 D'Orazio, J.,et al. (2013). UV radiation and the skin. International Journal of Molecular Sciences, 14(6), 12222–12248.

※2 Gilchrest, BA. (2013). Photoaging. Journal of Investigative Dermatology, 133, E2–E6.

※3 Papaccio, F.,et al. (2022). Focus on the Contribution of Oxidative Stress in Skin Aging. Antioxidants, 11(6), 1121.

※4 佐々木 政子.(1998). 太陽紫外線の科学.日本皮膚科学会雑誌,108(12),1540–1545.

※5 出典:「紫外線 環境保健マニュアル 2020」(環境省) (https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2020/matsigaisen2020.pdf)を編集して文章を作成。

※6 Young, AR.,et al. (2017). Ultraviolet radiation and the skin: Photobiology and sunscreen photoprotection. Journal of the American Academy of Dermatology, 76(3), 76(3S1), S100–S109.

※7 de Jager, TL.,et al. (2017). Ultraviolet Light Induced Generation of Reactive Oxygen Species. Advances in Experimental Medicine and Biology, 996, 15–23.

※8 Jakubczyk, K.,et al. (2020). Reactive oxygen species - sources, functions, oxidative damage. Polski Merkuriusz Lekarski, 48(284), 124–127.

※9 出典:厚生労働省eヘルスネットより引用(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html?fpc=292.6.365.3997f04062607a0m.1719116799000)

※10 「活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑える物質」※のことを抗酸化物質( antioxidant )といいます。(※出典:厚生労働省eヘルスネットより引用(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html?fpc=292.6.365.3997f04062607a0m.1719116799000))

※11 Ivanov, IV.,et al. (2018). Ultraviolet radiation oxidative stress affects eye health. Journal of Biophotonics, 11(7), e201700377.

※12 出典:気象庁ホームページ(https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/3-51uvindex_define.html#:~:text=%E7%B4%85%E6%96%91%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A%E9%87%8F%E3%82%92%E3%80%81%E6%97%A5%E5%B8%B8,%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E5%BC%8F%E3%82%92%E7%A4%BA%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%EF%BC%89%E3%80%82)を編集して文章を作成。

※13 Fioletov, V.,et al. (2010). The UV index: definition, distribution and factors affecting it. Canadian Journal of Public Health, 101(4), I5–I19.

※14 UVインデックスは目を紫外線から守るには不十分だとする意見もあります※。(※Hatsusaka, N.,et al. (2021). UV Index Does Not Predict Ocular Ultraviolet Exposure. Translational Vision Science and Technology. 10(7), 1.)

※15 出典:気象庁ホームページ(https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_uvindex_month54.html)(2024年9月25日に利用)

※16 Poljšak, B.,et al. (2012). Free radicals and extrinsic skin aging. Dermatology Research and Practice,  2012, 135206.

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