The Orthomolecular Times

2024.11.05 分子栄養学の食事「亜鉛を多く含む食品」

食事

春の食卓「簡単春野菜フライパン蒸し&タンパク質たっぷり大人ディップ2種類」

日本中を優しい色に染めた桜前線もあと少し。イチョウの柔らかそうな若葉、梅の新緑。木々の若芽の芽吹きが花が咲いているように見えて、可愛らしい季節が訪れています。空ではツバメが春の到来を告げ、ツバメの子育てのニュースは、みんなの心を和ませてくれる春の風物詩です。

そんな春の旬。菜の花、タラの芽、フキノトウ、アスパラガス、春キャベツなどが美味しい季節になりました。旬とは、その時季にたくさん採れて、いちばん美味しくなる季節のことです。旬の野菜は、味だけでなく栄養価も高いため、ぜひその季節に食べたい食材、そしてお財布に優しい食材でもあります。また暖房・冷房などの余計なエネルギーを使わずに育てられることが多く、自然とSDGs※1につながります(※冬の旬を食べよう「冬野菜」)。

今回は、全国の春のスーパーでこの時期比較的安く手に入る、春キャベツなど野菜をもりもり食べるための、混ぜるだけタンパク質(※5大栄養素(概論))たっぷりディップの大人レシピと、フライパンを使った簡単な野菜蒸しの方法をお届けします。

春キャベツや春のかぶ

春キャベツや春のかぶなどは、洗ってそのままサラダで食べることのできる野菜です※2。かぶは春の七草「すずな」としても知られています。仕事が忙しくて、調理はちょっと・・という方も、ぜひ包丁を握って、さっくり切ってみてください。普段、コンビニや外食に頼っているみなさんも、ぜひ添加物のない、自然な食材の美味しさに触れてみてください。生で食べたり、フライパンでほんの少しの水で蒸し焼きにするだけで自然な甘みが感じられ、ほっとする食卓に変身します。

春キャベツ

春から初夏にかけて収穫し、4~6月頃に出回るものを「春キャベツ」、夏に種をまき、冬に収穫するものを「冬キャベツ」と呼んでいます。春キャベツは柔らかく、甘みがあるのが特徴で、浅漬けやせん切りなどサラダでの生食※2が美味しい品種です※3

食物繊維を考える際、イメージとして、コンビニによく売られているせん切りキャベツ1袋をキャベツ150 gとして計算すると、食物繊維:2.7g※4となります。キャベツの厚めの葉1枚(幅10㎝×長さ20㎝ほど)で約100gです。食物繊維の量として、いかがですか?想像していたよりも少ないのではないかと・・・。1日にとりあえず目指す食物繊維の目安は20gです(※食事の基本)。キャベツのせん切りは、見た目にボリューム感があり、食物繊維十分のような気がしてしまいますが、1食少なくとも7gを目指したい食物繊維としては、他の食材でプラスして補う必要があります。火を通すことでボリュームダウンさせて量を摂ったり、また、主食にもち麦を混ぜる、海苔を食べる、みそ汁に海藻や糸寒天やきのこを入れるなど、いろいろな種類の食物繊維を摂って、腸の中に住む有用菌にさまざまなエサをあげましょう。

春のかぶ

春先に出回るかぶは皮も柔らかく、洗ってカットするだけで皮まで美味しくいただけます※2。かぶの葉っぱは大根菜(※冬の旬を食べよう「冬野菜」)と同じで、β-カロテン(ビタミンAの前駆体)やビタミンK、カルシウムなどが豊富です。かぶの葉は、根元の土をきれいに洗って、色が鮮やかな緑に変わるくらいにさっと茹でれば、美味しいお浸しの出来上がりです。直径7㎝くらいの小ぶりのかぶ1個(約80g、皮つき)で食物繊維1.2g※4です。

新たまねぎ

3月から4月頃に出回ります。普通の玉ねぎは長持ちさせるために1か月くらい乾燥させますが、新たまねぎは土から掘ってすぐに売られるため、普通のたまねぎに比べ、生で柔らかくみずみずしい食感を楽しめます※5。新たまねぎ小1個(80g)で食物繊維1.3g※4です。食べ過ぎに気をつけて、生で薄くスライスして春キャベツのせん切りに混ぜたり、かつお節をかけてお浸し風に※2

簡単フライパン春野菜蒸し

ここでは、ほんの少しの水を使った簡単なフライパン蒸し料理の基本形を、春キャベツを使ってご紹介します。たくさんの水を沸かさない分、ガスや電気代の節約にもなるお得な調理法です。

【簡単フライパン春キャベツ蒸し】

●用意する調理器具など:フタ付きフライパン、包丁、まな板

<材料:2人分>

春キャベツ300g(中くらいの葉3~4枚)

<作り方>

  1. 春キャベツをざくざくと、3~4㎝角くらいの食べやすい形に切る。このとき、芯の白い部分は2つに割ると火も通りやすく、食べやすくなります。
  2. フライパンに芯の部分を先に入れ、そのほかはふんわりとかぶせ、水を大さじ3~4入れてフタをします。
  3. 中火にかけ、3~4分経ったらできあがりです。まだ芯が硬いようでしたら、お好みの蒸し時間を追加してください。

この蒸し方は他の野菜にも応用できます。 かぶの場合は、小さなかぶは4つのくし形に、大きなかぶは8等分のくし形にカットすると3~6分、薄い5㎜のスライスにすると2~3分で蒸しあがります。にんじん、ブロッコリー、アスパラガスなど、他の野菜も一緒に蒸すことも可能です。にんじんは薄くスライスして2~3分、アスパラは1分~1分30秒、ブロッコリーは3分くらいが目安です。野菜の種類や切り方で火の通り方が違います。野菜のシャッキリ感がお好きな方は、タイマーで時間を計りながら、ぜひお好みの分数を見つけてみてください。(※フライパンの種類によって、必要な水の分量は変化します。)

ご家族の分も多めに蒸したい場合は、フライパンのフタが閉まるくらいの春キャベツを蒸すことも可能です。
アスパラの下処理は、頭と根元の部分を両手で持ってしならせます。そうすると、ポキっと折れるところが出てきます。そのポキっと折れたところから頭までは皮をむかずに食べられる柔らかい部分です。ポキっと折れた根元部分は、皮が硬いので、皮を厚めにむき、根元のいちばんしっぽの方の5㎜~1㎝くらいを切り落としてから調理すると美味しくいただけます。

春野菜を彩る味つけ&香り食材のご紹介

塩(マグネシウムたっぷりの海塩がお勧めです)、しょうゆ、みそ、酢、ハーブ、梅干し、からし、塩昆布、柚子胡椒、明太子、青のり、粒マスタード、焼き海苔、しょうが、にんにく、カレー粉、七味唐辛子など。たっぷりの良質なオイルをかけたりつけたりすることは、しっかりとエネルギー量を確保しながら新鮮な脂質(※食事の基本)を摂ることができ、美味しさが広がる方法です。酢、しょうが、にんにく、ハーブ、カレー粉などの酸味や香りを加えることは、塩分を控えた薄味でもしっかりとした満足感につながります。

春野菜のための簡単大人ディップ2種

簡単混ぜるだけディップで、春野菜の楽しみ方が広がります。ぜひお試しください。

【豆腐ディップ※6

あっさりした、大人向けのディップです。

 ●用意する調理器具など:深めの陶器とそれをふんわり軽くフタをできるもの(レンジ加熱可能なフタもしくはラップ)、材料を全部混ぜることのできる器、包丁とまな板(もしくはおろし器)

<材料:1~2人分>

豆腐150g、米酢小さじ1、しょうゆ小さじ1/2、みそ小さじ1/2、エクストラバージンオリーブオイル大さじ1、にんにく1/2片

<作り方>

  1. にんにくはみじん切り(もしくはすりおろし)にして深めの陶器に水大さじ1と一緒に入れ、ふんわり軽くふたをして(レンジ加熱可能なフタもしくはラップなど)600Wのレンジで1分15秒ほど加熱する。(※にんにくに火が通ればOK。加熱時間はレンジの機種によって加減してください)
  2. 器に豆腐を入れて、フォークでつぶします。
  3. ②に①と調味料を全部入れ、混ぜてできあがり。みそが溶けにくい場合は、みそをしょうゆと酢で先に別皿で溶いてください。

<栄養素※4

エネルギー:216kcal、タンパク質:8.4g、脂質16.9g、糖質:5.5g、ナトリウム:327㎎、カリウム:350㎎、カルシウム:47㎎、マグネシウム:99㎎、鉄:1.4㎎※7、亜鉛:1.0㎎、ビタミンD:0.0μg、ビタミンB1:0.24㎎、ビタミンB2:0.09㎎、ナイアシン:0.6㎎、ビタミンB6:0.22㎎、ビタミンB12:0.0μg、葉酸:42μg、パントテン酸:0.23㎎、食物繊維:0.9g(うち水溶性食物繊維0.5g)、食塩相当量:0.8g (※ビタミン(総論)

【サバカレー味ディップ※6

黒コショウがよく効いた、EPA+DHAも摂れる大人向けのカレー味混ぜるだけシンプルディップです。

 ●用意する調理器具など:材料を全部混ぜることのできる器、包丁、まな板

<材料>

サバ水煮缶1缶、新たまねぎ(みじん切り)60g、カレー粉大さじ1+小さじ1、黒コショウ多め

<作り方:1~2人分>

  1. サバ(汁ごと)は器に移し、形がなくなるくらいにフォークか箸でほぐします。
  2. ①に新たまねぎのみじん切り、カレー粉、黒コショウをいれて、全体を混ぜ合わせます。
    ※自分の好みのカレー粉を多めに使うのと、黒こしょうをたっぷり入れるのが満足のポイントです。

<栄養素※4

エネルギー:405kcal、タンパク質:41.0g、脂質:21.3g、糖質:4.7g、ナトリウム:650㎎、カリウム:675㎎、カルシウム:544㎎、マグネシウム:79㎎、鉄:5.4㎎※7、亜鉛:3.5㎎、ビタミンD:20.9μg、ビタミンB1:0.33㎎、ビタミンB2:0.78㎎、ナイアシン:15.8㎎、ビタミンB6 :0.78㎎、ビタミンB12:22.8μg、葉酸:32μg、パントテン酸:1.27㎎、食物繊維:3.4g(うち水溶性食物繊維:0.7g)、食塩相当量:1.7g

いかがでしたか。食物繊維、カリウム、にんにく、たまねぎ、カレー粉などの香辛料(スパイス)は、過敏性腸症候群、SIBO、腎臓病など病態によって摂り方が変わる場合があります。ぜひ食べられるものでお手軽に旬を楽しみ、食卓を春で彩りながら、健康的な食生活を楽しんでいきましょう。

※1 SDGs(エスディージーズ)
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。

※2 細菌による食中毒
生野菜は流水でよく洗い流し、切ったらすぐにお召し上がりください。生野菜をお弁当にして持ち歩くことは、セレウス菌などの食中毒のリスクになることが報告されています。

※3
出典:東北農政局Webサイト
(https://www.maff.go.jp/tohoku/monosiritai/syokutaku/kyabetu.html)

※4
『文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)準拠 八訂食品成分表2022 本表編.女子栄養大学出版部.(2022)』より算出

※5
出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2006/01.html)

※6
日もちしないため、調理後はすぐにお召し上がりください。

※7
鉄は、動物性食品(肉や魚など)に含まれるヘム鉄と、植物性食品(大豆、野菜、海藻など)に含まれる非ヘム鉄に分類されています。それぞれ吸収率が異なり、ヘム鉄の方が吸収率が高く、鉄を摂る効率が良いことが知られています。

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