The Orthomolecular Times

2024.12.16 分子栄養学と免疫の栄養素「自然免疫:好中球の働きとビタミンC」

子供(成長期)

子供の栄養「骨作り・イライラ対策にカルシウム・マグネシウムを!」

あなたのお子さんも栄養と環境次第でまだまだ身長が伸びるかも?!

親の背が低くても、 子供の身長を伸ばしてあげたいと思うのが親心ではないでしょうか? ご自身の身長が低いからと、 お子さんの身長の伸びを諦めていませんか? もしくは、ご自身の背が高いからと言って、お子さんの身長が自然と高くなると思っていませんか?もちろん身長は、遺伝の影響を受けます。 しかし、 遺伝以外にも身長の伸びに
影響を及ぼす要因があります(図1)。
それでは、子供の身長を最大限に伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?成長期の子供の身長は、 思春期が始まって約2年間は急激に伸び、その後約3年間は緩やかに伸びます。 最終的に、 男子は17歳頃まで、 女子は15歳頃までで伸びが止まると言われています (図2)。

図1 身長の伸びを左右する要因
図2 身長の伸びの一般的なタイミング

世界的に見て、日本人は思春期を迎える時期が早いと言われています。 思春期が早いと、 その分身長の伸びが止まってしまう時期も早く訪れます。 したがって、それまでに身長を伸ばすために必要な栄養素の摂取と環境作りが何よりも大切になってきます。骨は人体の枠組みを作り、身体の支柱となり、内臓を保護する役割があるため、すぐ骨折をしてしまわないように、 丈夫な骨を作り上げることが大切なのは、言うまでもありません。
また、世界的に見て日本人の平均睡眠時間は短かく、成長に必要なホルモンの分泌が低下し、身長の伸びを妨げる要因となります。

カルシウムとマグネシウムって何者?

身体を健康な状態に保つには、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、どれも欠かすことができません。 中でもミネラルは、身体の構成成分になったり、代謝の働きを活性化させるために必要不可欠な栄養成分です。 必要量は少量あるいは微量ですが、体内で合成できず、不足すると身体のいたるところに異常をきたします。
カルシウムとマグネシウムはミネラルの一種で、 成長期の子供には必要不可欠です。 カルシウムは牛乳などの乳製品や小魚に多く含まれます。 マグネシウムは、魚介類・海藻類 大豆製品に多く含まれますが、 和食離れが目立つ中、なかなか十分な量を確保するのが難しくなっています。 これらが不足すると、 身長が伸び悩んだり、骨や歯がもろくなったり、精神的に不安定になってしまいます。

カルシウムとマグネシウムは食事摂取基準で足りているの?

厚生労働省は、国民の健康保持・増進を図る上で望ましいエネルギー及び各種栄養素の摂取基準を発表しています。 ミネラルの食事摂取基準は、体内に存在する量が足りているという考えから計算されたり、欠乏症を防ぐための最低限の必要量が計算されており、本来の必要量はもっと多くなります。
下記に一般的な食事の例を挙げました。 実際、 食事摂取基準(2020年版)を基に、 献立1と2に含まれるカルシウムとマグネシウムの摂取基準状況、特にこれらのミネラルの必要量が増加する10~11歳と12~14歳を参考に計算したところ表1の結果となりました。
また、身長が急激に伸びる年齢層では、カルシウムの必要量も相関して増加します(図3)。
栄養面を配慮していても、カルシウムとマグネシウムは食事摂取基準を満たすことが難しいため、骨の成長が著しい成長期の子供たちにとってこれらのミネラルを十分に摂ることはさらに困難です。

表1 カルシウム・マグネシウムの摂取基準状況10~11・12~14歳を一例として
図3 年齢別のカルシウムの必要量の一例
年齢によってカルシウムの必要量が急増します!

カルシウム & マグネシウム お互いが助け合うブラザーミネラル

身体の骨格に重要なミネラル

カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルで、99%以上が骨と歯に含まれます。残りの組織には1%弱と低濃度でしか存在しませんが、この1%弱が身体にとっては、とても重要な働きをします。
マグネシウムは、体内で7番目に多いミネラルで、50~60%が骨と歯に存在します。残りは筋肉、腎臓、脳などの軟部組織・臓器中に含まれます(図4)。

図4 カルシウムとマグネシウムの分布と主な働き

骨の形成にカルシウムが必要であることはよく知られていますが、実はカルシウムだけでは足りません。 骨は鉄筋コンクリート状に例えられることがありますが、 鉄筋を構成するのがコラーゲン(タンパク質・ビタミンC・鉄が材料)、 コンクリート部分を構成するのがカルシウム・マグネシウムなどのミネラルと、ビタミンD・Kとなります(図5)。
骨のカルシウムは急激に減少するものではなく、徐々に溶け出して、長い年月をかけて骨粗鬆症を招きます。 したがって、骨がもろくなっているときは、かなりのカルシウム不足が起こっていると考えられます。

図5 骨を形成する栄養素
骨密度の高い丈夫な骨作りは子供の頃から始めよう!

絶妙な調節能力をもつミネラル!

骨と歯は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの貯蔵庫としてとても大切な組織です。 細胞内外のミネラルのバランスは非常に巧妙に保たれていて、カルシウムに関しては、細胞内と細胞外の比率が1対10,000で維持されています(図6)。 骨・歯以外の組織で必要なカルシウムが不足しないように、 必要なカルシウムは骨から補給されます。 そしてこの比率が保たれているからこそ、 図4に挙げた働きがスムーズに行われます。
また、マグネシウムは 「天然のカルシウム拮抗剤」として働くブラザーミネラルで、カルシウムの細胞内への流入を防ぎ、 体内のミネラルバランスを保ってくれます。

図6 細胞内外のカルシウム比率

成長期の子供はカルシウム・マグネシウムが不足しやすい!

骨の成長が真っ只中な子供にとって、カルシウム・マグネシウムの需要は非常に高く、補給は必要不可欠です。 骨の材料となるカルシウム・マグネシウムを十分に摂らないと、身長が伸びないどころか骨が非常にもろくなり、ケガをしたり骨粗鬆症予備軍になってしまいます。
現代っ子がなかなか避けて通れないインスタント食品などの加工食品には、添加物としてリン酸塩が含まれますが、この成分はカルシウムの吸収を阻害したり、カルシウムの排泄を促したりします。さらに、発汗によってカルシウムを含むミネラルも失われるので、運動後や暑い日などにはミネラルの補給がとても大切です。 ストレスもカルシウム・マグネシウムの排泄に加担することがわかっています※1。ストレス社会に生きる現代っ子にとって、ミネラル補給によるストレス対策も重要です。
また、最近ダイエットの若年化が進んでいますが、これもカルシウム・マグネシウムの不足につながります。成長期の肥満も問題ですが、 ダイエットによって成長に必要な栄養素が不足することによって、大人になってから様々な問題が起こってしまいます。

※1 MS Seelig, Consequences of magnesium deficiency on the enhancement of stress reactions; preventive and therapeutic implications (a review). Journal of the American College of Nutrition. 1994,13.5:429-446.

図7 カルシウム・マグネシウムが不足する要因

ちょっとやそっとでは骨折しない骨作り・イライラしない子供になるために、カルシウム・マグネシウムをしっかり摂りましょう!

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