The Orthomolecular Times

2024.12.16 分子栄養学と免疫の栄養素「自然免疫:好中球の働きとビタミンC」

子供(成長期)

子供の栄養「ビタミンCで、ストレスから子供を守ろう!」

現代っ子はストレスだらけ -昔では考えられなかったストレスを子供は抱えています-

学校が終わると子供は元気に外を駆け回り、遊び疲れて早く寝る…一昔前であればよく見かけた光景だと思います。しかし、現代っ子は、学校が終われば夜遅くまで塾に通ったり、習い事をしたり、家族団らんの時間も無ければ、家でリラックスする時間さえありません。さらに、両親が共働きであれば、子供が学校から帰宅しても一人で過ごす時間が多いのが現状です。子供はあくまでも子供です。反抗期や思春期真っ只中であっても、まだまだ親に甘えたい時期です。しかし、親が忙しく、子供の相手をあまりしてあげられない、塾や習い事が多くて親子の時間が設けられない、といった状況は、子供にとってストレスになる可能性があります。また、最近の子供はかなり幼い時期からスマートフォンやゲーム機器などの電子機器に触れる機会が増えています。赤ちゃんをあやすにも電子機器が使われることが珍しくない時代です。このように電子機器を使用する時間が増えることによって、外で身体を動かす時間が減り、眼を酷使する時間が増え、睡眠時間が削られてしまうなど、気づかないうちに子供のストレスはどんどん増えています。

ビタミンCって何者? -優秀なプレーヤーだけどとても繊細-

身体が健康な状態にあるためには、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、どれも欠かすことができません。中でもビタミンは、身体の調子を整える潤滑油のような働きがあります。必要量は微量ですが、体内で合成できず、足りなくなると身体のいたるところに異常をきたします。ビタミンには、油に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)と、水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群・C)があります。水溶性であるビタミンCは、体内で利用された後に尿などによって排泄されてしまうため、毎日摂ることが大切です。

ビタミンCは食事摂取基準で足りてるの?

表1は、厚生労働省が発表しているビタミンCの食事摂取基準(2020年版)です。これは、日本人の平均的な体格を基に、あくまでも病気を防ぐためのギリギリの必要量が計算されています。下記に一般的な食事の例を挙げました。朝食と夕食は家庭で、昼食は学校の給食で食べるとします。3食栄養面を配慮しながら食べた場合でも、約185mgのビタミンCしか摂ることができません(献立1)。様々なストレスにさらされている成長期の子供たちにとって、これは十分な摂取量とは言えないのではないでしょうか?

表1 ビタミンCの食事摂取基準
表2 1日のビタミンC摂取量 「日本食品標準成分表」より

上記の通り、食事を抜いたり、コンビニ食やファストフードに頼ってしまうと、大幅にビタミンCの摂取量が減ってしまいます。ビタミンCは熱と水に非常に弱いため、野菜を洗ったり、調理することで低下します。したがって、成分表などに記載されているビタミンC量は、食品の保存方法や調理方法によって変化するため、食事摂取基準では足りていない可能性があることを留意することが大切です。

ビタミンCの必要量は、成長期の子供にとって個体差があります!


ビタミンCって何に必要

人は呼吸の際に酸素を取り込みます。そして酸素を必要とする反応過程で必ず活性酸素が発生します。活性酸素は身体にとって必要な物質ですが、多すぎると細胞がダメージを受け、様々な疾患の原因となります(図1)。

図1 活性酸素と細胞ダメージの関係

活性酸素の発生要因には、呼吸以外ではストレス、紫外線、激しい運動などがあります。成長期の子供にとって、日々発生する活性酸素をしっかりと退治することは大切なことです。ビタミンCには、この活性酸素を減らし、細胞を守る働きがあります。体内のビタミンCの分布をみると、活性酸素が発生しやすく、活性酸素の退治が必要な器官に多いことがわかります(図2)。これらの器官が子供の成長に大きく関わっていることから、ビタミンCがいかに大切かがわかります。さらに、ビタミンCは免疫強化、骨の成長や皮膚の再生ならびにストレス対策にも重要です(図3)。

図2 体内のビタミンC分布
図3 主なビタミンCの働き

必要量と摂取量のバランスには個体差を考慮することが重要

成長期の子供は、成長のみならず、集団生活で風邪をひきやすかったり、部活動で激しく運動したり、受験のストレスがあったりと、ビタミンCの消耗が激しく、必要量が増加する状況に置かれています。 必要量と摂取量のバランスが取れていれば健康な状態が維持できます。しかし、不足分を十分に補給できず、必要量が摂取量より上回ってしまうと風邪をひいたり、身体がだるくなってしまったり、身長が伸び悩んだり、肌が荒れたりと様々な症状が出てきてしまいます。これは、ビタミンCに限らず、栄養成分全般にも言えることです(図4)。

図4 ビタミンCの必要量と摂取量の関係

ストレスでビタミンC が消耗?!

風邪の予防や、風邪をひいたときにビタミンCを摂るという話はよく聞きますが、実はストレスにもビタミンCがとても大切であることをご存じでしょうか?さらに、骨と皮膚の構成成分であるコラーゲンもビタミンC無しではつくれません。 現代社会に生まれてきた子供にとって、親がどんなに栄養面を意識しながら子育てをしていても、ビタミンCは思っている以上に消耗が激しい栄養素なのかもしれません。 子供が毎日元気に過ごせるように、そして色々なストレスに負けない、健康な大人に成長していくためにも、今まで以上に親がしっかりと子供の栄養管理をしていきたいものです。

ビタミンCと免疫 -風邪・インフルエンザ・アレルギーに負けない身体をつくろう!-

学校や塾などの集団生活で心配なのが感染症です。インフルエンザやその他の流行病などに罹りづらくするためには、免疫力を高めておくことが大切です。手洗い・うがいはもちろんのこと、食生活を含む生活習慣次第で、細菌やウイルスにも負けない身体をつくることができます。中でもビタミンCには、免疫力を高める働きやアレルギーを軽減させる働きがあります。

現代っ子は“ひ弱”? -ビタミンCと骨・皮膚の関係-

身長の伸びは、子供の成長において最も気になるポイントの1つではないでしょうか?骨の材料はコラーゲンとカルシウム・マグネシウム(Ca・Mg)ですが、コラーゲン合成タンパク質(タンパク質が材料)がビタミンCと鉄の働きによってコラーゲン三重らせん構造になり、はじめてコラーゲンとして機能します(図5)。また、骨は成長ホルモンなどによって成長します。成長ホルモンは睡眠時に最も分泌されるため、成長期の子供は、その時間にしっかりと睡眠をとることがとても大切です。皮膚もコラーゲンから構成されるため、睡眠をしっかりとり、骨と同様、タンパク質とビタミンCならびに鉄をしっかり摂りましょう(図6)。これらの栄養成分が不足すると、肌荒れやアトピー性皮膚炎などの症状が出やすくなってしまいます。

図5 コラーゲンが形成される仕組み
図6 丈夫な骨と皮膚に必要な栄養素と睡眠

ビタミンCをしっかり摂って、ストレスから子供を守ろう!

 小児科の医師らは、図7のような症状が子供に現れたら要注意であると言います。これらはストレス症状として子供に現れる症状です。子供も大人同様、様々な身体的・精神的ストレスを受けます。健康であれば、副腎などからコルチゾールなど様々なストレスホルモンが分泌され、ストレスに負けないように対処してくれます。適正なストレスホルモン量は身体にとって不可欠ですが、その量が過剰であっても不足していても身体に悪い影響をきたします。材料となる栄養成分(図8)が不足してしまうと、ストレスホルモンの産生と分泌が低下してしまい、種々のストレス症状が現れてしまいます。

図7 子供にみられるストレス症
図8 コルチゾールの材料となる栄養成分

ビタミンCをたっぷり摂って、風邪やストレスを退治しよう!

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