The Orthomolecular Times

2024.12.16 分子栄養学と免疫の栄養素「自然免疫:好中球の働きとビタミンC」

各種検査について

血液検査の意義④「今と過去のデータから未来を予測」

分子栄養学に基づいた栄養療法では、個体差(※分子栄養学とは⑥)を大切にするためのツールとして、詳細な血液検査を推奨しています。なぜ血液検査なのか、その理由を4回シリーズでお届けしています。(※血液検査の意義① 血液検査の意義② 血液検査の意義③)今回は、その最終回です。

個体差を大切にした分子栄養学では、この個体差の違いによる一人ひとりの個人の基準値を平常値と呼び、健康管理をする上でとても大切な基準であると考えています。(※血液検査の意義③

自分の平常値を知り、小さな経時的変化を見逃さない

では、どのように自分の平常値(※血液検査の意義③)というものを見つけることができるのでしょうか。

答えは「経時的変化を評価すること」です。 “経時的”とは、「経過する時間順」の意味です。

毎年続けて血液検査をすることで、毎年の自分の血液検査結果が出ます。そしてそれを経過する時間順(経時的)に比べていくことで、その中の変化を数値としてみることができます。そしてそれを続けていくうちに、自分の平常値というものが見えてきます。その少しずつの変化の中で、少しでも自分の平常値からはずれた時を見逃さないようにするのです。

人間ドックなどでは、血液検査結果をA~Eなどの段階で評価することがあります。少しずつ違う検査結果の数値でも、そのAという範囲の中に入ってしまうと同じ評価になってしまいます。しかし、同じAの中でも、検査数値が少しずつ変化することがあり、そのような毎年の小さな変化が、「単に病気でないだけでなく、不調がなく本当に健康だと言えること」にとって重要な場合があります。自分の平常値を知っておくことで、トラブルを未然に防ぐ手立てとしていきます。

もともと一部の血液検査項目には、少し前の情報(過去)を示すものがあり、60項目を超える血液検査では、採血したまさにその「今」の状態と、一部の過去の情報をみることができます。そしてそれらを経時的にみていくことによって、今と過去のデータから未来を予測し、病気の一次予防につなげていくことを提唱しています。

健康な時の自分の平常値をつかんでおくことが理想

今、分子栄養学による栄養療法を選ぶ目的は、目の前の不調を治し、健康になることかもしれません。しかし、そのさらに先、病気を予防し、将来の健康を守りながらご自身の人生を楽しんで生き生きと生き切ることがとても重要です。分子栄養学では、現状だけでなく、これから先に予測されるような病気になる可能性なども含めて知るために、たくさんの項目を採血することを推奨しています。そしてそれは1回のみの単発ではなく、定期的な検査をお勧めしています。経時的に検査結果を医師とともに管理することによって、健康な時のご自分のおおよその平常値をしっかりとつかんでおくことが理想です。

最善の分子栄養学的アプローチのために

分子栄養学による栄養療法を選び、血液検査に沿って選ばれた栄養素をたとえがんばって補給したとしても、それがその方にとって十分な量か、摂取した栄養素がきちんと吸収されているかどうかは全くの別問題です。そこで、最善のアプローチでご自分に合った栄養素の最適量(至適量)を見つけていくためにも、栄養素がきちんと吸収されているかを判断するためにも、栄養素補給前後の経時的な血液検査をお勧めしています。加えて、栄養素を吸収できる状態かどうか、胃や腸といった消化・吸収を司る消化管の状態も他の適切な検査により見極めていくことも大切です。

血液検査はとても正直です。現在の自分の栄養状態を如実に表す、いわば健康指標の宝です。特に自分には問題がないと思っている方でも、1年に1回は継続的に血液検査をすることをお勧めしています。それは、自分の中で起こる小さな変化をできるだけ早い時点で見つける手がかりにもなりますし、ご自分の健康管理をしていく上で、どのような健康管理をすればいいかという、たくさんの手がかりがつかめるからです。

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